2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654041
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 克弘 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40213722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 芳彰 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90325043)
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Keywords | グラフ理論 / 閉曲面 / マイナー / 既約三角形分割 / 多重辺 / Hadwiger予想 / 同型判定 |
Research Abstract |
閉曲面上の既約三角形分割の生成については,昨年度の研究により一定の目処が立った.向き付け不可能閉曲面でのプログラムは,技術的問題により完成に至らなかったが,向き付け可能閉曲面でのサブルーチンは完成しており,「ループがない」という意味での既約性を持った三角形分割の生成などが実現している.データをどのように公開していくかについては今後の課題となる. その一方今年度は,これまでに得られたデータを用いた理論研究に重点をシフトした.閉曲面上のグラフでの研究が盛んになされている彩色問題と関連し,得られたグラフの染色数についてデータベースからの抽出を行った.とくに次数列ごとにグラフのデータを分類して保管しているため,与えられた次数列を持つグラフの中に,どのような染色数を持ったグラフがどのように分布しているかについてのデータを収集した.このデータを用いた理論的な研究として,Hadwiger予想の次数列版ともいうべきものについて研究の進展が見られた.Hadwiger予想は,平面グラフに対する四色定理を拡張したもので,グラフ理論の中で最も有名かつ深淵な未解決問題と言っても過言ではない.与えられたグラフの染色数が k であるとき,そのグラフには k 頂点からなる完全グラフがマイナーとして含まれるであろうという予想である.その次数列版とは,各次数列ごとに,その次数列をもつグラフの中で染色数と完全マイナーの頂点数を最大値をとり比較したものである.この予想そのものは Dvorak, Moharらによって解決されているが,次数列ごとのHadwiger数や染色数の最大値について,正則次数列,および準正則次数列に対して値を決定することができた.
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