2012 Fiscal Year Research-status Report
非平衡成長パターンを実現する疑似解と方程式集合の構成
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23654042
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
二宮 広和 明治大学, 理工学部, 教授 (90251610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 大信 明治大学, 理工学部, 准教授 (20304389)
若狭 徹 九州工業大学, 工学研究院, 准教授 (20454069)
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Keywords | 応用数学 / パターン形成 / 国際研究者交流(台湾) |
Research Abstract |
まず,昨年度の研究で用いたwave front interaction modelとFitzHugh-Nagumo方程式の関係を用いて回転スパイラル解の存在を示した.これは,Y.Y. Chen氏とJ.S. Guo氏との共同研究で,フロント波とバック波をもつ自由境界問題の一定速度で回転するスパイラル解の構成に成功した.この研究に引き続き,wave front interaction modelとFitzHugh-Nagumo方程式の関係を調べた.wave front intercation modelはFitzHugh-Nagumo 方程式の特異極限系にはなっていない.どのような修正が必要なのかを調べ,特異極限系としてwave front interaction modelを導出するような反応拡散系を得ることに成功した.このことを踏まえ,FitzHugh-Nagumo型方程式の特異極限として得られる自由境界問題から孤立進行波解を得ることに成功した.現在,論文を執筆中である. 複素数に拡張した反応拡散系を考え,その解の挙動について調べた.解が実数のときは,爆発するような系になっているが,系を複素数へ拡張すると,正の実軸をまたがないような初期値では解が原点に収束することを示し,論文に発表した. 若狭(研究分担者)は単独反応拡散方程式の完全解について研究を行った. 本研究課題に関して, 単独反応拡散方程式の完全解の厳密解表示について考察し, 研究打ち合わせを行った.厳密解を求める, という枠組みにおいては時間発展する全域解と定常解の扱いは大きく異なるが, 両者を一貫して考察可能な枠組みを調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
wave front interaction modelの回転スパイラル解や孤立進行波解の構成は,FitzHugh-Nagumo方程式の特殊な疑似解となっている.研究計画とは異なる部分もあるが,形をもった疑似解の構成に成功しているので,概ね順調に進展していると評価できる.これらの特殊な解を合成することにより,より複雑なパターン解構成法の開発が今後の課題である. 中間的な方程式の利用という新しい方法によって疑似解の構成できており,申請時の計画での申請時の計画にあるStep 3「方程式系の導出過程から疑似解の構成へのフィードバック」を進めている状況である.Step1「疑似解の構成」,Step2「疑似解のみたす方程式系の導出」については,まだ成功しているとは言えない.
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Strategy for Future Research Activity |
特殊な解を合成する手法の開発として,これまで研究を行ってきた階段状解の構成の手法が利用できると考えられる.これは,M. IidaおよびR. Luiとの共同研究で解の値(レベル)によって,伝播速度が異なるような方程式および解の構成を行っている.この研究打ち合わせを今年度中に行うことができなかったため,2年間の研究予定であったが,次年度に延長して研究を進める.また,Step 1「疑似解の構成」からStep 2「疑似解のみたす方程式系の導出」も同時に進めていく必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特殊な解の合成を行う手法として,これまで研究を進めてきた階段状解の構成手法の適用を検討する.そのため,宮崎大学の飯田教授と研究打ち合わせを行う. また,FitzHugh-Nagumo方程式の回転孤立疑似解の構成を行うため,Y.Y. Chen氏やJ.S. Guo氏と連絡を取り合う. これらの研究に加えて,疑似解を対応する方程式集合の性質について研究(Step 4)を研究分担者と進める予定である.そのため,これまでの文献整理も必要となってくる.
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