2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 清臣 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60107688)
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Keywords | 5階偏微分方程式 / 曲面 / 円の族 / cyclide / 共形変換 / 非線形 / 解析的 / 代数曲面 |
Research Abstract |
3次元空間内の曲面で2種類以上の円の族を含む曲面としてトーラスやブラムの曲面が知られていたがこれらはすべてサイクリッドと呼ばれる4次の多項式で記述される代数曲面である.本研究の目的はそのような曲面をすべて求めることであったが2011年11月頃ネット検索によりサウジアラビアのPottmann教授らが2種の円の族を含む,サイクリッドでない曲面の例を発見していたことがわかった.我々は既にそのような曲面を記述する非線形の5階偏微分方程式系を得ていたがこの方程式系は大変長く,複雑な式であることから新たな解を発見的にでも求めるには適していない.そこで今年度は新しい方向性としてこの偏微分方程式系を常微分方程式系に帰着させられないか検討し,ほぼ満足する結論を得た.その主なアイデアとは2種の円の族のうち一方を5個の1変数解析関数による曲面の構成的表示のために用い,もう一方をその曲面がみたすべき偏微分方程式による条件として用いることである.第一段階では曲面を表す2変数関数が族を表すパラメータ u の5個の1変数関数と円方向を走るパラメータ v を使って具体的に表されることを示し,もう1つからくる偏微分方程式に代入することによりパラメータ v をもつ1つの常微分方程式に帰着させる.第二段階では代数的な議論によりさらにこの方程式が u のみに関する有限個の代数的な非線形常微分方程式系に帰着できることを示した.ただし理論的証明は完成しているものの(東大数理プレプリント UTMS2013-4)具体的な計算処理は数式処理が膨大になるため,1つの関連する例の計算を除いて成功していない.
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