2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654048
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
清水 扇丈 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (50273165)
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Keywords | 関数方程式 / 関数解析 / 最大正則性 / 自由境界問題 / 非圧縮性粘性流体 / Lp適切性 / Navier-Stokes方程式 / 相転移 |
Research Abstract |
質量保存則と運動量保存則を満たす流体方程式がNavier-Stokes方程式であるが, 加えて熱力学平衡, 即ちエネルギー保存則を満たす相転移を伴う非圧縮性2相流モデルの数学的な解析を進めている. この相転移モデルは流速・圧力・温度に加えて自由境界の平衡状態からの高さ関数を未知関数とする非線形偏微分方程式系である. 自由境界の法線速度が流速の法線速度と異なることで相転移を表し,流体工学で注目される混相流を表現する. 1.相転移を伴う非圧縮性2相流の線形化問題のLp最大正則性:全空間で上半空間と下半空間を2相とする線形化問題に対するLp最大正則性を, 作用素解析の拡張であるH-無限計算法により証明した. さらに基準有界領域における線形化問題のLp最大正則性を局所化の方法により証明した. 2.摂動層領域における相転移を伴う非圧縮性2相流のLp局所適切性:摂動領域は法線方向が接線方向の関数として与えられ, この変換を用いて線形化問題に帰着すると準線形方程式系となる.1で得られた全空間のLp最大正則性に基づき, 縮小写像の原理によりLp局所適切性を証明した. 3.有界領域における相転移を伴う非圧縮性2相流のLp局所適切性:有界領域の場合は, 摂動層領域と異なり半沢変換を用いて基準有界領域の線形化問題に帰着し, 準線形方程式系を得る. しばしば用いられるラグランジュ変換は, 初期時刻に界面にある粒子が時間経過後にも界面にあることが保証されないため用いることができない. 1で得られた基準有界領域のLp最大正則性に基づき, 縮小写像の原理によりLp局所適切性を証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つは, 有界領域内の相転移を伴う非圧縮性2相流体の自由境界問題のLp空間枠での適切性を証明することである. 相転移を伴う非圧縮性2相流の基本である, 各相で定密度、表面張力が定数の場合のモデルに対し, 線形化問題のLp最大正則性, 非線形問題のLp局所可解性について解析が終了した.同モデルの定常解のLp安定性, Lp大域適切性の研究も順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
相転移を伴う有界領域における非圧縮性2相流の定常解のLp安定性, Lp大域適切性の研究を発表する. さらにこれまで定数としていた表面張力を温度に依存する変係数としたモデルの解析に取り組む. マランゴニ対流とは, 流体表面の表面張力が不均質になることが原因で流体の流れが駆動される対流を指す. 温度も自由境界問題の解として時間に依存するが, 表面張力を温度に依存して変係数とすることにより, 本モデルではマランゴニ対流を含む流れを扱うことができる. このモデルに対しても, 表面張力が定数であった場合と同様に, 線形化問題のLp最大正則性, 非線形問題のLp局所可解性, 定常解もLp安定性, Lp大域可解性を証明する手順で解析を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
J. Pruess教授との共同研究のためのドイツ出張旅費, 国際研究集会 “The 6th Pacific RIM Conference on Mathematics 2013'' での研究成果発表のための札幌出張旅費が主たる使用予定経費である. 外国出張旅費が嵩むため平成24年度分研究費を平成25年度に繰り越した.
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Research Products
(10 results)