Research Abstract |
1. 有界領域における相転移を伴う非圧縮性2相流の平衡解のLp安定性およびLp大域適切性 有界な2相流体において初期相を十分球に近い有限個の部分で与える. Lp解の局所一意存在は, 昨年度に証明済みである. 符号を反転させたエントロピー汎関数がリヤプノフ関数となり, 平衡解は, 0流速, 定温度, 部分領域がすべて同じ半径の球となる. 本年は平衡解のLp安定性について解析した. 平衡解の回りでの線形化問題は時間発展方程式で表され, 解析半群を生成し, 最大Lp正則性をもち, レゾルベント作用素はコンパクトとなる. 生成作用素は, 部分領域が連結の場合は正の固有値を持たず, 個数が2つ以上の場合は正の固有値を持つ. それゆえ, 初期相が1つからなる部分の場合は安定, 初期相が2つ以上からなる部分の場合は不安定という結論が得られた. さらに一様球条件の仮定の下で, 初期状態が平衡解に近ければ, Lp解が時間大域的に存在することを証明した. 証明においては, 重み付き最大Lp正則性を応用することにより, 解軌道のコンパクト性が示せる点が鍵である. 2. 表面張力が温度に依存した場合及び過冷却を考慮に入れた有界領域における相転移を伴う非圧縮性2相流の平衡解のLp安定性およびLp大域適切性 1のモデルにおいて, 流体の表面張力が温度の関数となった場合, さらに過冷却を考慮に入れたモデルを考察した. 自由界面における運動方程式には, 表面張力が関数になったことにより接線方向に働くマランゴニ力が新たに加わる. 過冷却を考慮に入れたことにより, 自由界面のエネルギーに過冷却エネルギーが加わる. これからの効果によりより複雑な相転移モデルとなったが, 平衡解Lp安定性およびLp大域適切性は共に1と同様の結果が得られた.
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