2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 亨 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00176728)
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Keywords | 超幾何函数 / 五角数定理 / 表現論 / 不変式論 / q-analogue |
Research Abstract |
五角数定理と,その一般化は,無限サイズの行列の組から得られる.その組は,殆ど共軛という関係で結ばれており,その差分関係式(五角数方程式)を満たす行列のトレースの差にアノマリーが生じて,非自明な関係式が得られる.この五角数方程式の階を具体的に書くことに関係して,完全斉次対称式の満たす差分関係式が,重要な手がかりを与え,更にその特殊化である第二種 Stirling 数が興味深い対象として現われる.但し,その特殊化という事実自体は自明ではない.その特殊化に関わる扱いの手法として,任意の数列を恰も特殊な数列であるかの如く看做す技法を考案し,一見対称でない多項式の対称性も明らかにし,パラメータつきの Newton 公式(ベキ和対称式と基本対称式の関係)や,パラメータつきの Wronski 関係式(基本対称式と完全斉次対称式の関係)などに寄与するとっかかりを得た.それは場の理論に関係した Macdonald 多項式にも関わる. 超幾何級数に由来する特殊多項式については,群対称性をもつフーリエ変換の有限体版における核函数の計算として,指導した学生の修士論文などで,その現象の一端を明らかにしたが,その背後にはもっと追究すべき一般的なものがあると期待され,その研究は今後の課題となる.特に,組み合せに関しての反転公式である,二項係数を核函数とするものは,Boole 環の加法群の表現論ではなく,さらにそれを有限体にまで拡張しておいて q-->1 の極限,つまり絶対極限として実現されるものであることが明らかになった.これは当初想定していた,五角数定理と超幾何を表現論的に融合するという思想の別の部分を探り当てた可能性もあり.そして,これが非可換な変数由来の超幾何と関連付けられれば,今後の研究を間違いなく豊かにする.
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