2011 Fiscal Year Research-status Report
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23654053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綿谷 安男 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (00175077)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 作用素 |
Research Abstract |
大きなヒルベルト空間Mに含まれる小さい部分空間の相対的な位置関係を研究する。それもn個の部分空間N1,…,Nn の配置を解明するのが目的である。重要なのは直和に分解できない直既約な配置である。n=1,2の時はすでに解けているが、有限次元に限れば、n=3,4 の場合も完全に分類されている。しかし、無限次元だとn=3や4の場合すら未解決である。今回の研究はこの問題を線形作用素の研究との類似を考察するという新しいアイデアで攻略するのが目的である。これにより作用素の不変部分空間の問題との強い連関も描ける。さらにquiver(有向グラフ)の頂点をヒルベルト空間に、辺を線形作用素に対応させて、道環の表現論としての研究にまで一般化する。これによりディンキン図形のA,D,Eを使ったガブリエルの定理の無限次元版の研究も目指す。今回の研究は有向グラフ(quiver)の頂点と辺をヒルベルト空間とその間の作用素として表し、道環の表現論を構築したい。特に包含写像を考えれば、部分空間を有向グラフに沿って配置する問題を含んでいる。有限次元空間では、直既約な表現が有限個しかないのはディンキン図形のAn, Dn,E6,E7,E8に限るというGabrierの研究[G]は有名である。無限次元ヒルベルト空間で有向グラフ(quiver)の表現を研究するという今回提案する研究は世界に先駆けるものであり、これは先行する結果[EW]を土台にするからこそ、生まれた研究である。もしこの研究が幸運にも発展すればリー環をKac-Moody環へ拡張したときに広大な研究分野が出現したのと、似た状況が、期待できる。今回は有向グラフとしてQronecker quiverを研究し、無限次元直既約表現の存在を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
部分空間の直規約な配置の問題は非常にむずかしいのであるが、今回のQronecker quiverの直既約表現の構成はそれに類似するものなので、部分空間の直既約な配置の問題へのとっかかりになるといえるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Qronecker quiverの直既約表現より強い性質である、自己準同型環が自明になるHilbert表現が存在するかをさらに考えたい。作用素環におけるAF環のブラッテリ図式ををまねた形で、有限次元のHilbert表現の帰納的極限としての表限がいつ直既約になるかの判定条件を求めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
連携研究者の榎本さんは関西で離れているので、お互いに何回も大学を訪問して、共同研究をすすめたい。
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Research Products
(2 results)