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2011 Fiscal Year Research-status Report

反対称なマリアバン解析の基礎理論の構築

Research Project

Project/Area Number 23654056
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

赤堀 次郎  立命館大学, 理工学部, 教授 (50309100)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords確率面積 / タウ関数 / 佐藤グラスマン多様体 / マリアバン解析
Research Abstract

当該年度は特にWiener空間での佐藤グラスマン多様体の実現という課題に取り組んできた.第一の成果として,KP方程式のソリトン解にあたるものを一般化された確率面積で表すということに成功し,その内容を Tau functions of KP solitons realized in Wiener space, (with Hidemi Aihara, Hiroko Fujii, and Yasuhumi Nitta) にまとめ,arXiv (arXiv:1108.0768)に投稿し,さらに国際ジャーナルに投稿した.また,この研究成果について研究集会「Rough Path解析とその周辺」2012/01/25 にて"Solitons via Stochastic Areas"という題で講演をおこなった.従来はKdV方程式のソリトン解に関する結果(Ikeda -Taniguchi) しかなかったが,反対称マリアバン解析からみて自然な対象である確率面積を用いることによってKP方程式のソリトン解が得られたことの意義は大きい.佐藤理論で最も自然な対象であるKP方程式のタウ関数と,反対称マリアバン解析からみて自然な対象である確率面積が結びつくことは,この両者が対応していることの証左であると考えられる.一般化された確率面積から,対称性の条件をくわえると,KdVのソリトン解になることもわかった.また,まだ論文にはまとめていないが,一般化された確率面積のうち古典的確率面積の項を消すと,多項式のタウ関数,すなわちプリュッカー関係式で記述される係数をもつシュアー関数の線形結合が得られるということもわかった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

一昨年度までに,新田氏,藤井氏との共同研究によって,反対称マリアバン解析を通じて得られる知見から,ソリトン解のタウ関数が確率面積の類似物,具体的には相関のある確率面積の線形和,によって表現できるということは予想していた.反対称マリアバン解析によってウィナー空間を表現空間とするクリフォード代数が得られ,さらにその2次形式によって無限次元リー環,そしてその「リー群」の作用が記述できるが,その作用の軌道にそのような確率面積たちあるということがわかるからである.しかし,それまでに得られていた確率面積の線形和では,KP方程式のタウ関数はおろかKdV方程式のそれも表現できないものであった.しかし本年度前期の蓬原氏との共同研究によって,上記の確率面積の線形和に対して,ある特殊なブラウン運動の対称な2次形式を加えることによって,「一般化された確率面積」が得られるということが明らかとなった.この結果は,ウィナー空間上に一般化された確率面積というかたちで佐藤グラスマン多様体が実現されるという可能性を大きくする重要な結果であると考える.この結果を論文のかたちでまとめ,投稿するところまで完成させたのはそれなりの成果であると考える.そのおかげで国内外の研究者からさまざまなコメントをいただくことが出来,次のステップの研究にすすむことができた.総じて,反対称マリアバン解析の基礎理論として,佐藤理論を援用するという道がひらけつつある.一方で,国際的な共同研究を推進する予定であったが,その方向ではあまりすすまず,その結果,予定されていた出張等がおこなわれず,次年度に予算の多くが持ち越しとなった.

Strategy for Future Research Activity

今年度は,一般化された確率面積をもちいて,佐藤グラスマン多様体のうち,多項式のタウ関数および,テータ関数にあたるものを表現することを目標とする.Schur多項式のタウ関数は佐藤グラスマン多様体の中で最も基本的な「基底」をなすものであり、Schur多項式の"極限"を考えると(1.1)のタウ関数をソリトン解のタウ関数を得る.この「極限操作」に整合的な一般化された確率面積とタウ関数の対応が得られれば,佐藤グラスマン多様体をWiener 空間上に実現するという目標の第一段階が完成する.また佐藤グラスマン多様体で重要なのはそこに大きな対称性=大きな群(無限次元リー環の「リー群」)の作用があるということで,Wiener 空間で佐藤グラスマン多様体が「真に」実現されるにはその群の作用, あるいは言い換えると、無限次元リー環の表現が得られていなければならない.これに対してはT. Miwa. M. Jimbo and E. Date Solitons, Cambridge University Press, 2000 に倣い、上記Akahori-Matsusita-Nitta が構成したClifford 代数の表現を利用する方法,およびG.Segal and G.Wilson"Loop groups and equations of KdV type", Publ. Math. IHES, 61 (1985), 5--65の方法をWiener 2次汎関数の定義するHilber-Schmidt 作用素に直接適用する方法の2つのアプローチを考えている,前者の方法では「ボゾン化」にあたるもの、後者の方法ではDetを与えるsection を構成することで目標が完成する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

2012年6月にオーストラリア,メルボルンで行われる確率論の国際研究集会で,昨年度に得られた結果,および本年度に新たに得られた結果について講演する予定である.そのために必要となる経費の一部を本研究費から出費する.また,2012年9月にスイスのチューリッヒで行われる国際研究集会においても同様の講演を行う予定である.また,同時期にパリとロンドンにいる研究者数名と意見交換を行うため,当地に出張する予定である.そのために必要となる経費の一部を本研究費から出費する.また,随行する共同研究者の経費の一部も本研究費から出費する.さらに,2013年3月にイタリア・フィレンツェに出張する予定でその際にも関連する成果について発表を行う予定である.そのために必要となる経費の一部を本研究費から出費する.また,随行する共同研究者の経費の一部も本研究費から出費する.これらとは別に,国外から関連分野の研究者を招聘し,意見交換を行う予定である.このための経費の一部を本研究費から出費する

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Tau functions of KP solitons realized in Wiener space2011

    • Author(s)
      Hidemi Aihara, Ji Hiroko Fujii, and Yasuhumi Nitta
    • Journal Title

      arXiv

      Volume: arXiv:1108.0768 Pages: arXiv:1108.0768

  • [Presentation] Solitons via Stochastic Areas2012

    • Author(s)
      Jiro Akahori
    • Organizer
      Rough Path解析とその周辺
    • Place of Presentation
      名古屋大学(愛知県)
    • Year and Date
      2012年1月25日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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