2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
利根川 吉廣 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80296748)
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Keywords | 幾何学的測度論 / 極小曲面 / バリフォールド / カレント / 変分法 / 偏微分方程式 |
Research Abstract |
向き付けされた曲面の一般化として定義されるカレントは、幾何学的測度論の重要な研究対象であり、プラトー問題の一般次元における面積最小曲面の存在定理を導く主要概念である.他方、面積最小性を課せないような問題、例えば平均曲率流に対しては向き付けがないバリフォールドの理論が有用である.近年、相分離に関連した変分問題において、この2つの概念(カレント・バリフォールド)をペアにすることが極めて自然であり、またその結果として2つを別々の対象として見るよりも優れた正則性を持つことが解明されてきた.このカレント・バリフォールドペアをキーワードとして、変分問題における新理論展開を計ることが全体の研究目標である.最終年度の成果としては特に平均曲率流との係わり合いの中で、(1)カレント的な手法を用いた外力項付、かつ一般次元の平均曲率流の時間大域的存在および正則性定理(高棹圭介氏との共同研究)、(2)ノイマン条件を付したやはりカレント的な手法による平均曲率流の存在定理とその新しい境界条件の定義の発見(水野将司氏との共同研究)、(3)3重点まわりにおける正則性定理、の3つが挙げられる.(1)、(2)については論文が査読中であり、(3)は準備中である.当該研究のひとつの大きな目標には変分問題の安定性について新しい枠組みを検討することを挙げていたが、これら研究を通じて静的な意味での安定性の概念を超える、動的な意味での安定性の概念を着想するにいたり、その点が意義深いと考えている.
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Research Products
(14 results)