2012 Fiscal Year Research-status Report
完全非可積分系の無限次元特異点論構築と特異モーション・プランニング問題への応用
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23654058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
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Keywords | 特異パス / 制御系 / 終点写像 |
Research Abstract |
平成24年度は,終点写像の解析のための無限次元特異点論の情報収集,関係資料精査,国内および海外での関連する研究の現状確認および無限次元特異点のパターンの分類についての研究を23年度に引き続き行った.その結果,制御系のうち,ジェネリックな多項式アフィン制御系について,特異パスの必ず持つ一般的性質を考察し成果を得た.さらに,G2 対称性を持つ具体的な制御系(いわゆるエンゲル・ヒルベルト系)に対して,特異パスの特徴付けを得ることができた.研究成果は,出版した論文 Singularities of Tangent Varieties to Curves and Surfaces, および Tangent varieties and openings of map-germs, の内容の一部に反映されていると共に,24年度に執筆し,現在,国際的専門雑誌に投稿中の論文:G. Ishikawa, Y. Machida, M. Takahashi, Singularities of tangent surfaces in Cartan's split G2-geometry, preprint (submitted). (プレプリントは,Hokkaido University Preprint Series in Mathematics #1020 で公開中)の内容の一部が本課題研究と関係している.また,海外の研究集会において成果発表を行った. これらの得られた結果を背景に、24年度は,特異パスを用いた任意のパスの近似問題を考察し,特異モーション・プランニングの実際問題への応用についても知見を得た.具体的な研究実績は,25年度において成果発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全非可積分系に付随する無限次元多様体上の写像の特異点を組織的に分析する方法を構築し,それを具体的な特異モーション・プランニング問題,すなわち,工作機械・ロボット等に,こちらがさせたい動き(状態空間上のパス)を,現実の拘束条件のもとで許容される動きによっていかに近似できるか,そのエントロピーや複雑さなどの量を,許容パス空間が特異性を持つ場合に評価する問題へ応用する.その応用を通して,一般の拘束条件付きの写像空間の特異点に対する基礎理論,普遍的な指導原理を確立することを目指す研究課題である. 当初の計画通りに研究が進んでいるが,制御系のうち,特に,ジェネリックな多項式アフィン系について,特異パスの必ず持つ一般的性質を解明したことは研究目的に照らして,有意義であると考えている,特に,古典的な微分幾何学でも重要なG_2カルタン系に関して,その特異パスの特徴付けを得たことは,本課題研究における意義を超えた課題にも関係する成果であると捉えている.このような成果を基に,特異パスに関して,時間最短問題,コスト最小問題との関係から,その応用可能性が明確に把握できている段階まで十分に達している状況なので,この特異パスの性質を用いた,任意のパスの近似問題,さらにモーション・プランニングの実際問題への応用についての課題が最終年度である25年において達成できると考えている.一方,一般の拘束条件付きの写像空間の特異点に対する基礎理論については,無限次元のサブリーマン幾何学などとの関連から定式化を試みているが,まだ有効な定式化には至っていない現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の課題として,24年度までに得られている任意のパスの近似問題,および,特異パスを用いたモーション・プランニングの実際問題への応用に関する知見を具体的に論文の形でまとめる予定である.また,投稿中のプレプリント G. Ishikawa, Y. Machida, M. Takahashi, Singularities of tangent surfaces in Cartan's split G2-geometry, を必要があれば修正・改良して,25年度中に出版し,実際問題への応用の基礎としたい. さらに,もともとの研究目的を超えて24年度における研究過程で得た問題「ヒューマン・ロコモーション問題」すなわち,人間の実際の移動の仕方を制御系として捉え,この問題と「モーション・プランニング問題」とくに特異パスの問題と関連づけて考察することを25年度中に行っていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度として,上に述べた具体的な成果の発表および必要な研究連絡と関連する補助業務を,国内外での関連研究集会等で行うために,研究費を主に旅費として使用していきたい.さらに,必要となるパソコン・プリンターの消耗品費などに充てる予定である. なお,経費の節減の結果生じた24年度からの使用残額については,24年度まで実現していなかった国内外での関連研究集会等での追加の成果発表および関連する補助業務に関して,最終年度の25年度において有効に使用する計画である..
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