2011 Fiscal Year Research-status Report
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23654060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石毛 和弘 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90272020)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 動的境界条件 / ラプラス方程式 / 大域挙動 / ポアソン核 |
Research Abstract |
ラプラス方程式に対する非線形動的境界値問題は、解の空間変数に関する法線方向微分と時間変数に関する一階微分の和を境界条件内にもつ、燃焼モデルの関連も指摘されている非線形問題の一つである。本年度においては、大阪府立大学の川上竜樹氏、コメニウス大学(スロバキア)のマレック=フィラ氏と共に、ユークリッド空間における半空間上においてラプラス方程式に対する非線形動的境界値問題を考察した。特に、本年度においては、発展的分数冪ラプラシアンとの密接な関連性とポアソン核を有効的に用い、解の基本的な性質の研究を行った。非線形動的境界条件をもつラプラス方程式の解は、デュアメルの原理を通してポアソン核を用いて表示でき、非線形熱方程式の大域解の漸近挙動で石毛及び川上によって為された解析手法の有用性を明らかにすることによって、比較原理を用いた解の先験的評価を与え、それによりポアソン核と同様の解の減衰評価を得た。結果として、大域解が存在するための十分条件を与え、また、十分小さい初期値に対して時間無限大でポアソン核のように振る舞うこと証明し、さらにポアソン核と解の差のノルムの減衰評価を与えた。この大域解が存在するための十分条件は、初期値の大きさを制限するものであるが、方程式のもつ自己相似性に不変なものであることが肝要であり、また、その相似不変性を用いて初期値のノルムを制御することによって大域的評価を与えることが可能であった。また、解の正則性評価等、将来的に非線形動的境界値問題の解析に必要と考えられる解の定性的な性質についてもその解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として、雑誌論文としての掲載はされていないが、既に専門雑誌 Communications in Applied Analysis に掲載されることが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
動的境界条件をもつラプラス方程式は分数冪ラプラシアン発展方程式との関係が強いため、分数冪ラプラシアンの研究を進めることにより、逆に動的境界条件をもつラプラス方程式の研究を進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成23年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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