2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 澄生 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90396416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アインシュタイン方程式 / リーマン計量 / 発展方程式 / 極小曲面 |
Research Abstract |
具体的内容:ペンローズ型不等式の解析において、ADM質量Mと呼ばれるアインシュタイン方程式の漸近普遍量と4次元空間内の総電荷Qおよび事象の地平線/ブラックホールの表面積の間に成り立つ関係について、共同研究者であるGilbert Weinstein氏とともに新たな知見を得た。Weinstein氏と研究代表者山田は2005年にペンローズ型不等式の一つの候補である不等式にアインシュタイン方程式の厳密解であるMajumdar-Papapetrou解を用いて反例を構成した。この反例の物理的な意味を精査した結果、アインシュタイン方程式のモジュライ空間にM > |Q|という制限をつけることで成り立っているはずのペンローズ型不等式の形に新たな候補が定まった。この新しい不等式を証明することを目標に次年度以降の研究計画の方向性を定める。意義および重要性:アインシュタイン方程式のハミルトン形式においては3次元リーマン多様体の時間発展をいう形でアインシュタイン計量を持つローレンツ多様体を構成する。時間一定面としての3次元多様体の漸近平坦性のもとで定義されるハミルトン汎関数の幾何学的理解の推進、とくに事象の地変線/ブラックホールの特徴付けは宇宙検閲官仮説の数学的に厳密な定式化を目指す上で不可欠な問題意識である。特にブラックホールのトポロジーがペンローズ型不等式にいかに反映されているかを見極めることは目下の課題として必然性が高いものであり、本年度得た成果は、正しい方向性を示していると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな知見としてM>|Q|という物理的条件の幾何学的解釈を本年度に得たことで、具体的な研究の方向性が定まったので、現時点ではその方向性に沿った技術的な障害を解消していくための道具立てを進める段階に達している。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙検閲官定理を巡ってのアインシュタイン方程式の解の特徴付けを、厳密解である静的解および定常解の微分幾何学的な理解を介して試みる。具体的には3次元リーマン多様体上の共形幾何学の手法を用いてのアプローチに重きをおいて、今後の研究計画を遂行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の海外研究者の招聘予定を延期したことで発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に以下で計画している研究の遂行に使用する予定である。1)京都大学数理科学研究所における研究集会での海外研究者2名の招聘費用援助2)研究代表者山田のオーストラリア、モナッシュ大学における研究打ち合わせ3)京都大学での研究打ち合わせを計画する。
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