2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを応用した、ニュートリノ実験のためのシンチレータの開発・研究
Project/Area Number |
23654073
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸本 康宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (30374911)
|
Keywords | ニュートリノ |
Research Abstract |
前年度からの課題であったフラッシュADCの不具合に関して,メーカと協力して解決した.このフラッシュADCを用いてデータ収集系をセットアップし,液体シンチレータ試料からのシンチレーション光の発光の波形を測定し,その有効性を実証した. 液体シンチレータに対する,ナノ粒子の溶解度が小さく,またバラツキが生じている点に関しては,使用するナノ粒子の表面修飾を4種類用意し,また液体シンチレータの溶媒としてプソイドクメンの他にキシレンを試したが,いずれも問題解決に至らなかった.溶媒や,液の純度等に注意して実験を遂行したが,残念ながら原因を究明することが出来なかった. また,プラスチックシンチレータへナノ粒子を溶解する試みとして,アクリル中にナノ粒子を分散させる試験を行ったが,ナノ粒子によって樹脂が白濁することが判明した.このため,樹脂シンチレータとして機能させることは困難との結論を得た. 本研究で使用したナノ粉末は,液体シンチレータ,樹脂シンチレータいずれの場合も,炭酸カルシウムのナノ粉末であったが,他の粉末,例えば酸化シリコン,酸化ジルコニウムの様に,屈折率を向上させる目的でナノレベルの光学結晶を樹脂に分散させている例がみられるので,本研究でも,フッ化カルシウムの微粉末をシンチレータ中に導入する実験を行ったが,フッ化カルシウムは全く分散しなかった.この原因は,使用したフッ化カルシウムは通常の高純度試薬であり,表面修飾は全く施されていない製品であったためと考えられる.ナノテクノロジー分野において,表面修飾は重要な因子であるので,今後も,研究の動向を注視し,再度挑戦したいと考えてい
|