2011 Fiscal Year Research-status Report
短パルスレーザープラズマのRF位相直接入射による革新的高性能イオン源
Project/Area Number |
23654085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00144387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
岡村 昌宏 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (80332245)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 加速器 / レーザー / イオン源 |
Research Abstract |
イオン加速器は、素粒子・原子核研究の分野にとどまらず、近年では粒子線癌治療やハイブリッドカーに使用される大電流IGBT製造まで、広範な応用分野で利用されるようになってきた。このため、物理研究用の大型且つ複雑な構成を持つ構造からシンプルでより扱い易い汎用加速器への進展が強く望まれている。しかしながら、陽子以外のイオンで多価・高電流を発生するためには、数億円の建設費が必要な、超電導電子サイクロトロンイオン源や電子ビームイオン源が実用化されているだけである。そこで、全く新しい概念に基づくイオン発生、及び、加速方法の研究開発を行い、加速器システム全体のコストダウン、小形化を目指す。これは信頼性の向上にも繋がり、大型装置では施設の稼働率向上に有効な手段となる。高強度レーザーの物質照射の際に発生して出てくる粒子、イオンの測定体系の整備から始めた。また、イオン種に関しても固体ターゲットのほうがガスターゲットよりも取り扱いが簡単なので、まず炭素イオンの発生測定に習熟するため、小型ファラデーカップを製作し、オシロスコープによる発生イオン電流のToF計測を行った。レーザーは短パルス照射に於ける素過程を測定するため、CPAレーザーを使用する。レーザーエネルギー、ファラデーカップのバイアス電圧、及びターゲットを昇圧することによる加速電圧を変化させておおよその傾向を取得した。また、イオン測定には、レーザーを使って行われる通常の環境では真空度が不足するため、その増強を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高強度レーザーの物質照射アブレーションという体系自身は加工という着眼点でこれまで研究されてきているが、その際に発生して出てくる粒子、イオンに関する情報はあまり存在しない。そこで、測定体系の整備から始めた。また、イオン種に関しても固体ターゲットのほうがガスターゲットよりも取り扱いが簡単なので、まず炭素イオンの発生に集中することにした。レーザーの物質照射では光子や中性原子、分子など、様々な生成物が予期されるが、ここではなるべく多価のイオンの生成が必要である。そこで、観測手法に習熟するためもあり、手始めに小型ファラデーカップとオシロスコープによる発生イオン電流のToF計測からスタートした。当該年度は態勢の整備や測定器の準備等、取り立ち上げに手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーエネルギー、ファラデーカップのバイアス電圧、及びターゲットを昇圧することによる加速電圧を変化させる測定だけではイオンの種類や、価数等が不明である。静電デフレクターを使ってエネルギー分別を行う測定器を現在準備し、これによる測定を計画している。ここでは、実際に使うバーストレーザーのパルスパワーを想定したエネルギーまで下げてイオンエネルギーの閾値を調べる。また、空胴の設計準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定装置などはほぼ自作するので、物品費はこれの電子部品、機構部品などに使用する。また、積極的に成果を国際会議などで披露するため、旅費、参加費が必要である。
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