2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボース凝縮体の超高分解能分光によるナノスケールでの重力法則の検証
Project/Area Number |
23654086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40226907)
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Keywords | ボーズ凝縮 / 重力法則 / 高分解能分光 / ナノスケール / モット絶縁体 |
Research Abstract |
まず、これまでに行ってきた、イッテルビウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体に対する高分解能な光会合分光を、複数の同位体の振動回転準位に適用し、約2GHzの範囲に、合計で15の準位について、約500Hzの精度で、その束縛エネルギーを決定することに成功した。これには、光会合光自身の光シフトや、原子間相互作用による共鳴のシフト、および光トラップ光によるシフト、などの系統的誤差をすべて取り除いた結果の値である。さらに、ボース同位体だけでなく、フェルミ同位体にも分光測定の対象を広げ、同様に、高い精度で、束縛エネルギーを決定することに成功した。 以上の、これまでにない非常に高精度な実験結果について、これらを理論的に説明できるかどうかについて、詳しい理論的な考察を行った。原子間距離Rの6乗、8乗、12乗の項によって表される、いわゆるレナード・ジョーンズ型のモデルポテンシャルによるフィッティングを試みた結果、実験結果を全く説明できないことがわかった。また、このレナード・ジョーンズ型のモデルポテンシャルの係数を、同位体ごとに変化しうるようにした結果、フィッティングの残差は一桁程度改善されたが、それでも、実験結果とは、一桁以上のずれが残ることが分かった。さらに、モデルポテンシャルとして、近距離でのポテンシャルとしてab-initio計算のものを用いて、遠距離での分散型ポテンシャルに漸近するようにしたものを用いても、フィッティングが改善されないこと、および、タン―テニアスポテンシャルと呼ばれる、2電子系原子の振る舞いをよく記述するモデルポテンシャルを導入しても、依然としてフィッティングが改善されないこと、さらに、遠距離ポテンシャルの補正として、カシミア―ポルダーポテンシャルを導入した場合には、むしろフィッティングが悪くなる、ということを新たな知見として得ることに成功した。
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Research Products
(29 results)