2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654093
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
長嶋 泰之 東京理科大学, 理学部・物理学科, 教授 (60198322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 隆行 東京理科大学, 理学部・物理学科, 助教 (90449306)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | ポジトロニウム負イオン / 陽電子 / ポジトロニウム / 消滅率 |
Research Abstract |
陽電子は電子2個と束縛して、水素負イオン様の束縛状態であるポジトロニウム負イオンを形成することがある。ポジトロニウム負イオンは純粋に電磁互作用によって束縛された系であるため、量子電磁力学の対象として貴重な束縛状態である。しかしその生成が容易ではなかったため、消滅率の測定については、わずかに3例が報告されているのみである。 本研究課題では、アルカリ金属を蒸着したタングステンに低速陽電子ビームを入射することによってポジトロニウム負イオンを大量に生成し、従来の測定よりも高い精度で消滅率を測定することを目指した。研究期間内には1.ポジトロニウム負イオンを高効率で長時間安定に生成する手法の開発、および2.消滅の測定の準備を行った。 測定精度向上のためには、ポジトロニウム負イオンを効率よく、しかも長時間安定して生成することが必要である。1では、タングステンに蒸着するアルカリ金属として、セシウム、カリウムおよびナトリウムの比較検討を行った。その結果、この3種類のアルカリ金属を蒸着すると、いずれの場合もポジトロニウム負イオン生成率の同程度の飛躍的な向上が達成できるが、長時間の安定性についてはナトリウムがカリウムやセシウムよりもはるかに優れており、3日間にわたって0.5%以上の生成率を維持し続けることがわかった。この結果はNew Journal of Physicsに掲載された。 2では、測定精度に関する詳細な検討の後に、実験装置の製作を行った。残念ながら、平成23年3月11日に発生した東日本大地震による電力不足の影響で実験時間があまりとれず、研究期間内にはポジトロニウム負イオンの消滅率の本測定には至らなかったが、準備は整った。24年の夏までには結果を出すことができるはずである。
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Research Products
(7 results)