2011 Fiscal Year Research-status Report
ヘリウム中における超伝導微粒子の光による作製と選別
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23654101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60240818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英一 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教 (10421992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超伝導 / ナノ材料 / 光ピンセット / 超流動ヘリウム / レーザーアブレーション / 金属 / 応用光学・量子光工学 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では、気体・液体ヘリウム中や真空中でレーザーアブレーション、光マニピュレーション技術などを組み合わせることで、金属微粒子を作製、選別、配列する技術を開拓することを目的としている。この際、マイスナー効果を利用して、超伝導微粒子を選別することを目指す。 今年度は超伝導ナノ粒子作製の報告があり、融点が低いためレーザーアブレーションによる微粒子作製が容易な単体金属Inを取り上げた。まず環境場として超流動ヘリウムと真空の比較を行った。アブレーションによって生成される微粒子の飛散状況を調べたところ、真空中では標的表面から指向性をもって放出されるのに対し、超流動ヘリウム中ではより等方的に放出されること、さらに後者では時間のオーダーで微粒子が浮遊していることが分かった。媒質中に長時間浮遊することは光マニピュレーションによる運動制御、粒子選別に有利であると考えられる。そこで、超流動ヘリウム中でレーザーアブレーションを行うと同時に別のレーザーを入射して光マニピュレーションを行い、作製された粒子群から一部の金属微粒子を1cm程度離れたSi基板上に移動させることを試みた。基板表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子群の粒径は数十nm以下となっていることを見出した。アブレーションで作製された直後の微粒子群の粒径は数nm程度から数μm程と広い分布をもっており、それに比べて粒径分布が非常に狭くなっている。その原因の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
レーザーアブレーションによる金属ナノ粒子の作製に成功した上、その光マニピュレーションを行った際、予想を超えて、そのサイズ選別も同時に行えることを見出したため。その原因究明は今後の課題であるが、興味深い結果であると考えられる。また、超伝導微粒子が作製できたことを既に確認しており、マイスナー効果との組み合わせへの準備も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ、マイスナー効果を組み合わせて、超伝導粒子の選別を行う。また、光マニピュレーションの標的としているSi基板上に金属ナノ構造を作製し、金属ナノ粒子の配列制御を試みる。その金属ナノ構造作製技術に関しては、経験豊富な研究グループとコンタクトを取りつつ手法の検討などを進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大量に使用する液体ヘリウムの代金、アブレーションターゲットとなる金属材料や超伝導粒子選別用磁石など消耗品の購入に大部分充当する。また、金属ナノ構造作製に関する情報収集や成果の学会発表のための旅費にも一部使用する予定である。
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