2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654103
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大道 英二 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00323634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カシミール力 / メタマテリアル / カンチレバー |
Research Abstract |
初年度である平成23年度はカシミール力の人工制御に向け、カンチレバーを用いたカシミール力測定装置を作製した。微小球を取り付けたカンチレバーと対向極板の間にはたらく微小な力をカンチレバーのたわみとして検出する。Fabry-Perot干渉計を用いた高感度測長技術を採用することで高感度検出を可能にした。個別の素子の最適化を行うことによりリアルタイムで100 pm程度の測長感度を実現した。これは力に換算すると10 pN程度にあたり、カシミール力の検出を行うために十分な検出感度である。 また、カシミール力を位置の関数として測定するために真空中で微小変位させる駆動ステージを作製した。クローズドループピエゾを用いることにより、0.1 nmの位置精度を持った位置制御が可能になった。信号検出、位置制御などを自動で行うためにLabVIEWを用いた自動計測システムの作製も行った。 実際にカシミール力の測定を行うために金蒸着したポリスチレン球をカンチレバーに取り付け、カシミール力の測定を行った。ポリスチレン球と対向極板の間にバイアス電圧を印加し、残留電位差を消去した。ポリスチレン球を対向極板に近づけていき、カンチレバーに働く力依存性を測定することに成功した。その測定結果については現在、解析中である。また、平行してカシミール力の人工制御に向け、メタマテリアル構造の材質、形状等の考察を行った。これによりカシミール力の制御に向けた指針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、本研究の鍵となるカンチレバーを用いたカシミール力測定装置の開発に成功した。カシミール力測定では、微小球を取り付けたカンチレバーと対向極板の間にはたらく力をカンチレバーの微小なたわみとして検出する必要がある。Fabry-Perot干渉計を用いた高感度検出法を採用することで高感度検出を可能にした。ベンドインセンシティブファイバーなど個々の素子の最適化を行い、安定化波長可変レーザーを採用することで低ドリフトかつ高確度の測定系を構築することができた。また、光ファイバーとカンチレバーの位置調整を行うために2次元ピエゾステージを作製した。最終的には、開発した装置を用いて、リアルタイムで100 pm程度の測長感度を実現することができた。また、真空中でカンチレバーを微小変位させる駆動ステージを作製した。クローズドループピエゾを用いることにより、0.1 nmの位置精度をもつ位置制御システムを構築した。信号検出、位置制御などを自動で行うためにLabVIEWを用いた自動計測システムの作製も行った。 実際にカシミール力の測定を行うために金蒸着したポリスチレン球をカンチレバーに取り付ける手法を開発した。カンチレバーの熱振動スペクトルを測定することにより、バネ定数と固有振動数を同時に決定できる手法を開発した。また、ポリスチレン球と対向極板の間にバイアス電圧を印加し、残留電位差を消去することを可能にした。これらの測定系を集積化することで、カンチレバーに働く力の距離依存性を測定することに成功した。さらにカシミール力の人工制御に向け、メタマテリアル構造の材質、形状等について比較、検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
カシミール力の大きさを定量的に評価するためには、いくつかの外的な要因について評価を行う必要がある。具体的には表面粗さ、有限伝導度、温度などに関する補正を行う必要がある。表面粗さについては共同利用設備のAFM装置を用いて表面形状観察を行い、得られた像に対して数値的な処理を行うことで凹凸の度合いを評価する。また、有限伝導度についてはフーリエ分光計による反射率測定からクラマース・クローニッヒ変換を行うことで動的誘電関数を求める方法を確立する。得られた結果をもとにカシミール力の補正項を数値的に評価し、測定結果を比較できるようにする。 また、実際に誘電体を用いたメタマテリアル構造の作製を行う。SiCなど赤外領域でも大きな誘電応答を示す物質について、基板上にパターニングを行い、メタマテリアル構造を作製する。メタマテリアル構造の作製はリソグラフィー、ドライエッチング、現像といった一般的な半導体微細加工技術を用いて行う。作製したメタマテリアル構造について、フーリエ分光計を用いて動的誘電関数を求め、数値的にカシミール力の大きさを評価する。理論的な値と比較を行い、カシミール力制御のために最適な構造を見出す。並行して、実際にメタマテリアル構造を用いたカシミール力測定に着手する。複数のメタマテリアル構造に対して測定を行い、カシミール力の大きさの変化を系統的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は試料評価用にデジタルマルチメータを購入する。また、カシミール力の測定を行うために必要な真空部品、光学部品などの消耗品を購入する。これらには測定系の改良のための部品やまたマテリアル構造作製に必要な基板代、消耗品などが含まれる。また、得られた成果について成果発表を行うとともに関連する分野の最新情報を収集する目的で国際会議に参加する予定であ
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Research Products
(2 results)