2011 Fiscal Year Research-status Report
ポジトロニウムをプローブとする局所磁場測定法の開発
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23654114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 晴雄 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60235059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 憲悟 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20415425)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 陽電子 / ポジトロニウム / 局所磁場測定 / スピンローテーション / LaBr3(Ce)シンチレータ結晶 / ガンマ線検出器 / デジタルオシロスコープ / 凝集系 |
Research Abstract |
本研究の目的は、陽電子と電子の結合状態であるポジトロニウムが磁場強度に依存した振動数で歳差運動し、これが消滅放射線の放射面の回転として観測される事象、即ちポジトロニウム・スピン・ローテーション(PsSR)を観測し、PsSRの振動数から磁場強度を求める新しい局所磁場測定法を開発することである。 PsSR実現における技術的な困難はPsの存在時間(寿命)が極めて短い事(物質中では10ns以下)である。これに対して本研究では、本研究室で開発したγ線測定信号のデジタル処理技術と、新しい市販のシンチレータであり時間分解能とエネルギー分解能に優れたLaBr3(Ce)結晶を組み合わせて用いる事により困難を克服し、PsSRを実現する。 本年度開発したPsSR装置の概要は以下の通りである。Psの形成時刻を測定するγ線検出器2台とPsの消滅時刻を測定するγ線検出器2台を有し、前者にはBaF2シンチレータ結晶が、後者にはLaBr3(Ce)結晶が搭載されている。計4台のγ線検出器の出力信号は全てデジタルオシロスコープに送られデジタルデータとして記録される。デジタルオシロスコープと並列してトリガー生成回路があり、トリガー生成回路は波高を弁別するディスクリミネータ、ディスクリミネータの検出信号を調節するゲート&ディレイジェネレータ、及び同時計数を判定するコインシデンスユニットから成る。トリガー生成回路によりPsSR信号と判定されるとトリガー信号がデジタルオシロスコープに送られ、デジタルオシロスコープが該当事象の波形信号を記録する。 平成24年5月には、テストデータとして空気のPsSR信号が得られる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な装置開発が終了した。ソフト開発も順調に進展している。平成24年5月には、テストデータとして空気のPsSR信号が得られる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
空気のPsSR信号が確認され、その寿命値や振動数が予想通りであれば、次は世界で初めて凝集系でのPsSR信号を取得する。この測定には大気中の酸素が悪影響することが予想されるので十分な対策を講じる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は主に測定試料の購入とトリガー系の改良に充てる。 旅費は主に日本物理学会等における成果報告の費用である。 人件費・謝金は、必要に応じて投稿論文の英語添削を行う。 その他は、主に装置の補修・修理費用である。
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Research Products
(8 results)