2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654124
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
冨田 知志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (90360594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三俣 千春 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70600542)
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Keywords | メタマテリアル / 強磁性金属 / スピン波 / 磁気共鳴 / ギルバート緩和定数 / スピントルク発振 / カイラリティ / 応力誘起自己巻き上げ |
Research Abstract |
スピン波メタマテリアルは、磁性体が持つスピン波共鳴などの磁気共鳴を利用し、負の透磁率など特異な磁気特性を実現するための人工構造物質である。本研究では、スピン波メタマテリアルの解析的モデルの構築、その妥当性や定量性を検証するための数値計算、更にこれらを用いた物性予測に基づいて、スピン波メタマテリアルでの特異な磁気特性の実現を目指した。 平成23年度は、相互作用する磁性ナノ粒子集合体からなるスピン波メタマテリアルでの、磁気モーメントの歳差運動の解析的モデルの構築を行った。そして構造によってギルバート減衰定数の制御が可能になることを明らかにした。これらの成果を、Physical Review B誌に論文発表した。 平成24年度は、スピン波メタマテリアルでのスピントルク発振における、巨視的なギルバート緩和の解析的な方程式を導いた。そして有効ギルバート緩和定数がスピン流に線形に依存する一方で、スピントルク発振周波数は注入されたスピン流に影響をうけないことを明らかにした。これらの成果はJournal of the Magnetics Society of Japan誌、IEEE Transactions on Magnetics - Conferences誌に論文発表した。 更に平成24-25年度にはスピン波メタマテリアルの実現を目指した。強磁性金属のミクロンサイズのカイラル構造を作製し、電子スピン共鳴を測定した。作製プロセスの改善を繰り返し、最終的に強磁性金属のカイラル構造に特有な磁気共鳴信号の観測に成功した。また数値シュミレーションや伝送線路型強磁性共鳴での「一分子」計測も試みた。これらの成果は日本物理学会などで口頭発表した。 本研究成果はメタマテリアルという考え方を、磁性体やスピン流などと融合し、新たな研究分野へ拡張する足掛かりとして大変意義深い。
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