2011 Fiscal Year Research-status Report
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23654131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小貫 明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90112284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20332596)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 沸騰現象 / 相転移 / ぬれ現象 / 疎水相互作用 |
Research Abstract |
液体中に疎水性壁がある系における乾燥転移についての理論を展開した。ここで壁付近では、流体は床によって撥ね付けられ、バルク液体の密度よりも小さい密度をとる。この撥ね付けられる度合いは、バルクの熱力学的状態や床の撥水性の強さによって決まる。ここで流体が撥ね付けられる結果、壁付近で比較的高密度でバルク液体より低密度の薄膜を形成する場合と、壁付近で比較的低い密度をとり厚い膜が形成される場合があるが、この2状態は一次相転移として移り変わることを見出した。即ち、圧力や温度の微小変化に対し2状態の間に不連続的変化が起こりうる。この現象をpredrying転移と呼んだ。圧力・温度相図の中でpredrying転移線を計算しその線がpredrying臨界点で終わることを見つけた。さらに動的van der Waals モデルを用いて疎水性壁上の低密度膜のダイナミクスを調べた。我々の温度範囲では気体の密度は液体の密度の25から30% 程度であり、気体の平均自由行程はそれ程は長くなく計算機により流体現象を記述できた。特に不連続な膜厚変化そのものは時間的に突然起こり、その際にかなりの潜熱吸収もしくは放出が起こり周囲に複雑な対流が発生することが見い出された。この物理過程は音波や熱流の関与する極めて複雑なものである。相転移直後の薄膜周囲の温度の不均一性は顕著であり、熱移送は音波によるもの熱伝導によるもの熱対流によるものに分けられる。これらの相転移の関与する流体現象は余りにも複雑で具体的に調べられた例がない。以上の結果はPhysical Review誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず流体と接する固体面が疎水性か親水性であるかが重要であることわかり、さらに疎水性面では気体膜の生成が相転移現象であることを見つけられた。このため(1)「当初の計画以上に進展している」といえる。しかしやるべきことは山積している。このため達成度は70%と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ我々の研究は、1成分流体の解析に限られている。2成分流体での沸騰現象の研究などが次年度に残されている。数値解析手法を2成分系にし熱流効果と相互拡散効果を動的方程式に取り入れることを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に研究成果報告、関係する国内外の研究者との議論のための旅費として用いる。
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