2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小貫 明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90112284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20332596)
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Keywords | 疎水壁 / 液体気体相転移 / 潜熱 / 流体力学 |
Research Abstract |
液体中に疎水性壁がある系における乾燥転移についての理論を展開した。ここで壁付近では、流体は床によって撥ね付けられ、バルク液体の密度よりも小さい密度をとる。この撥ね付けられる度合いは、バルクの熱力学的状態や床の撥水性の強さによって決まる。ここで流体が撥ね付けられる結果、壁付近で比較的高密度でバルク液体より低密度の薄膜を形成する場合と、壁付近で比較的低い密度をとり厚い膜が形成される場合があるが、この2状態は一次相転移として移り変わることを見出した。即ち、圧力や温度の微小変化に対し2状態の間に不連続的変化が起こりうる。この現象をpredrying転移と呼んだ。ここで動的van der Waals モデルを用いて疎水性壁上の低密度膜のダイナミクスを調べた。特に不連続な膜厚変化そのものは時間的に突然起こり、その際にかなりの潜熱吸収もしくは放出が起こり周囲に複雑な対流が発生することが見い出された。この物理過程は音波や熱流の関与する極めて複雑なものである。相転移直後の薄膜周囲の温度の不均一性は顕著であり、熱移送は音波によるもの熱伝導によるもの熱対流によるものに分けられる。さらに最近では、水に僅かの疎水性不純物を混入させた場合の壁からの気泡生成の熱力学・動力学を調べ論文を作成中である。即ち、疎水性不純物は壁付近に集積し易く容易に気体膜を形成しやすい。所謂ナノバブルの問題の最初のの理論的論文であると考えている。この様な選択的水和効果は一般的であり、水とアルコールなどでも一般的に期待される。
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