2011 Fiscal Year Research-status Report
SISミキサーを用いた位相安定化レーザー誘起マイクロ波発光分光と量子位相検出
Project/Area Number |
23654142
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 麻雄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20322092)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マイクロ波発光分光 / 超伝導ミキサー / サブミリ波 / 高分解能分光 / 量子位相制御 |
Research Abstract |
本研究で製作する位相安定化赤外レーザー誘起マイクロ波発光分光システムは、1)位相安定赤外レーザー誘起マイクロ波発生部と2)SISミキサーマイクロ波ヘテロダイン検出部、および両者をマスタークロックを介して結合する位相安定化制御系から構成される。今年度は1)2)の開発を平行に進めた。1)超音速分子ビームを使った位相安定赤外レーザー誘起マイクロ波発生部分子をコヒーレントラマン過程で励起し、誘導放出するマイクロ波を効率よく発生するために、超音速分子線発生装置と大口径の楕円鏡を用いた準光学的な集光系を構築した。分子を超音速ジェットとすることで、回転温度を10Kまで下がることを確認し、熱的分布数を低い回転準位に集中させた。また、発生するサブミリ波の波長が励起レーザー光と比べて2-3桁長いので位相整合条件が緩やかになるため、レーザー光の入射角はゼロとして誘導放出マイクロ波を同軸・同ダイバージェンスで取り出すようにする一方、励起レーザー光とマイクロ波の分離には大口径のテフロン板を真空装置の窓材とすることで、残留レーザー光がSISミキサーのマイクロ波検出に及ぼす影響を取り除くことができるようになった。2)SISミキサーを用いたサブミリ波ヘテロダイン検出本研究のキーデバイスはSISサブミリ波ミキサーであり、これには連携研究者である情報通信機構の入交博士の協力の下、液体He冷却クライオスタットの導入と周辺マイクロ波回路の立ち上げ作業を行った。 しかしながら、その過程の中でHe冷却クライオスタットに液体Heが入らないという事態に陥り、その対応におわれた。熱伝導による熱流入を最小限に抑えるために機械的保持機構の変更、および断熱真空の向上のために従来のインジウムシールから、より再現性と耐久性の高いOリングシールに変更した。その結果、液体Heの1回の充填で20時間に及ぶ保持時間を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子からのマイクロ波発生部の製作は計画通り完了したが、SISミキサー素子導入の準備が遅れ、導入するに至っていない。その理由として、SISミキサー素子をマウントする液体ヘリウム冷却クライオスタットに液体Heが入らないという事態が発生した。原因として機械的保持のための接触部、配線からの熱流入、断熱真空の漏れが考えられたので、その対応に追われた。対策として、熱伝導による熱流入を最小限に抑えるために機械的保持機構の変更、スーパーインシュレータによる配線経路の断熱、および断熱真空の向上のために従来のインジウムシールから、より再現性と耐久性の高いOリングシールに変更した。その結果、断熱の問題は解決し、液体Heの1回の充填で20時間に及ぶ保持時間を実現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SISミキサー導入の障害になっていたクライオスタットの断熱問題が解決できたため、今後はSISミキサー素子をクライオスタットにマウントする作業に着手する。SISミキサー素子導入後は、Local光としては既存の位相安定化したBWO光源からのサブミリ波をdiplexerを通してSISミキサーに導入するとともに、周辺エレクトロニクスおよび実時間スペクトラムアナライザーを含むデータ処理系を統合して、マイクロ波のヘテロダイン検出器としの特性を最適化する。その後、分子からの誘導放出されたマイクロ波の検出に臨む
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度支払い実績では当初予算に対して約700,000円の残額とされるが、低温アンプ、およびアナライザーの計680,000円分はH23年度末には納品済みで、実際に使用を開始していおり、支払いもH24年4月に済んでいる。このように最低限必要な備品の準備は実質上H23年度当初予算で揃えることができているので、今年度の研究費の使用については当初の計画からの変更はなく、試料ガスと寒剤の液体Heと窒素の消耗品が主たる経費の用途となる。
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