2012 Fiscal Year Annual Research Report
SISミキサーを用いた位相安定化レーザー誘起マイクロ波発光分光と量子位相検出
Project/Area Number |
23654142
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 麻雄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20322092)
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Keywords | マイクロ波発光分光 / 高分解能分子分光 / 量子位相 / SISミキサー / 位相敏感検出 |
Research Abstract |
本研究は「SISミキサーを用いた位相安定化レーザー誘起マイクロ波発光分光と量子位相検出」と題して、スペクトルを極限まで狭窄化した2台のレーザー光源を用いた分子の回転励起状態から発生するコヒーレントなマイクロ波を、量子限界の検出感度を有する超伝導(SIS)ミキサーを用いて位相敏感検出する分光システムを開発した。これによって、従来の吸収分光法では到達できなかった超高分解能マイクロ波発光分光法を実現するのみならず、分子の回転励起状態の量子位相を直接制御し、その結果をモニターする手段として確立するための研究をおこなった。 具体的には、赤色半導体レーザー素子を外部共振器に組み込み、光コムレーザーのモードにロックするための光学系と電子制御系を2セット作成し、ヨウ素分子の回転準位を用いた2重共鳴分光をおこない、超微細構造を分離したサブドップラースペクトルを得た。この結果よって、可視領域のレーザーを用いて、分子の回転準位をコヒーレントに励起できることが実証され、極性分子に適用することで、コヒーレントな誘導マイクロ波発光を実現する技術が確立した。 一方、マイクロ波発光の位相敏感検出システムとしては、連携研究者である情報通信機構の入交博士の作成したSISミキサー素子を、ダイアゴナルホーンを採用した特注のミキサーマウントに組み込み、液体ヘリウム温度でのI-V動作特性を測定し、ミキサーとしての良好な特性を確認した。さらに、局部発振光としてBWO発振器からの640GHzのサブミリ波を導入し、自己バイアス電流を測定することによって、サブミリ波の検波作用を確認した。さらに、直径10cm、長さ200cmの気体セルを作成し、分子マイクロ波発光分光システムを構築したが、液体Heの供給が今年に入って厳しく制限されたため、分子発光スペクトルを検出するところまでは至らなかった。
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