2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 正幸 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60251485)
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Keywords | 自己駆動 / 螺旋運動 / ベシクル / オレイン酸 / 化学刺激 / chemophoresis |
Research Abstract |
人工鞭毛により自己駆動するベシクル系の実現に向けて、次の研究を進めた。まず、人工鞭毛の基礎としてオレイン酸の分子集合体のpHを変化させて、チューブ状ベシクルが螺旋状に形態転移する特徴的なpHが8.2~8.4程度である事を見出した。そこで、最初にpH8.5で球状ベシクルを作製し、そこにpH1の酸性水溶液(HCl)をマイクロピペットを用いて吹き付け、ベシクル表面からのチューブの成長が観察されるかを調べることを試みた。しかしながら、系内の対流によりベシクルが移動し、効果的な吹き付けが困難であった。そこで、現在ベシクルをマイクロピペットを用いて固定し、そのうえで低pH溶液を吹き付けることによるらせん駆動の実現に向けて研究を進めている。 一方、そのようなケミカルインジェクションの実験の過程において、リン脂質ベシクルがインジェクションしているピペットの方に集まる現象を見出した。この現象は中性のリン脂質 DOPC ベシクルに pH 12 の項pH 水溶液 (NaOH)をインジェクションしたときに最初に観察された。ケミカルインジェクションによりベシクルベシクルはchemical source に向かって駆動する chemophoresis現象を示し、その移動速度はピペットからの距離が小さい程速くなる事を見出した。このchemophoresis の駆動力としては膜と溶媒の親和性(濡れ)が pH に依存するという仮説を立て、脂質2分子膜の支持膜を作製し、そこで接触角を測定すると確かに pH の高い溶液の方が膜との親和性がよい事が明らかとなった。また、ベシクルが余剰面積を持つとき、ベシクルは移動しながら膜変形をする事、また与える化学物質によって chemophoresis の振舞が異なる事も明らかとなった。
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Research Products
(4 results)