2013 Fiscal Year Research-status Report
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23654147
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹井 理生 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30178628)
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Keywords | 国際情報交流アメリカ / 遺伝子ネットワーク / ES細胞 / 揺らぎ |
Research Abstract |
ES細胞の多能性を維持するためのコア遺伝子と、分化を促進する遺伝子を組み合わせた複合ネットワークのモデルを構築した。25年度は,このモデルが正しく動作するためのパラメータを幅広く探索するmassive parameter searchを行い,モデルの妥当性を示すとともに,実験と整合性があるようにモデルの細部の改良を行った。これらの結果は,PLoS Computational Biology誌に論文として発表された。また,ES細胞がepiblast細胞を経て神経外胚葉細胞,中内胚葉細胞へ分化する過程のモデルを構築し,Nanog遺伝子のスイッチングの時間スケールの違いがこれらの細胞への分化過程にどのような影響を与えるかの分析を開始した。さらに,平均場近似と数値計算を併用して2遺伝子による理想化されたモデルを詳しく分析し,安定状態間の遷移ダイナミクスの解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子ネットワークのモデルを精査し,パラメータ空間を探索して確率シミュレーションを行うことにより、遺伝子スイッチ過程における時間スケールの違いが現象を説明する鍵となることを示し、遺伝子ネットワーク理論に進展をもたらした。実験データの解釈や実験の設計のために理論の果たす役割を拡大させ,実験と理論の対話のための基礎を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
Nanogの発現量揺らぎについての最近の実験グループ間の論争を分析し,実験データ理解のために理論が果たしうる役割を考察する。2i条件のES細胞についてモデル化し、揺らぎの振幅が減る機構について解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度には、ES細胞における遺伝子発現の動的揺らぎを解析するために理論モデルを構築し、これまで得られた成果を学会および論文に発表してきたが、その研究の結果、染色体の動的揺らぎがES細胞の動的揺らぎと深く関わることが明らかになった。そこで当初計画を変更し、染色体の動的揺らぎそのものに対する解析をさらに深めることとしたため、未使用額が生じた。 このため、染色体の動的揺らぎに関する研究に必要な数値解析を次年度に行うことにして、数値解析を担う作業に対する人件費、成果発表の旅費、及び論文発表のための経費に未使用額を充当したい。
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