2011 Fiscal Year Research-status Report
水素原子の量子効果が引き起こす氷の異常相の経路積分計算による探究
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23654149
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
衣川 健一 奈良女子大学, 理学部, 教授 (50254446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 氷 / シミュレーション / 経路積分 |
Research Abstract |
氷に対する、Parrinello-Rahman-Nose-Hoover-chain(PRNHC)型(結晶セルの変形を自由に許す定温・定圧型のMD法)の経路積分分子動力学(PIMD)シミュレーションのプログラムを、本申請者の作成している既存のコードをもとにチューニングした。これまで水素系に対して使用してきたPIMDのプログラムの分子間力、分子間ポテンシャルの部分をフレキシブルな水モデルであるSPC/F2型(J. Lobaugh and G.A. Voth, J. Chem. Phys. 104, 2056 (1996))に変更したものを作成した。このSPC/F2型水ポテンシャルは、剛体分子ではなく分子自体の変形を水の分子内ポテンシャルで許すことを包含した水分子間相互作用ポテンシャルであり、既に水のPIMD計算で物性のよい再現性を示すことが知られている。PRNHC-PIMDとSPC/F2モデルを用いることによって、水素・酸素原子核を量子化し、分子内自由度を入れながら結晶の変形を自由に許すことになる。このPRNHC型のPIMDには、アルゴリズムとして本申請者のnormal-mode CMDアルゴリズム(K. Kinugawa et al., J. Chem. Phys. 106, 1154 (1997)) を使用した。本研究では計算時間が莫大になるためセントロイド量子ダイナミクス計算は行わず、PIMD(経路積分Monte Carloと同等)によって静的なシミュレーションのテスト計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遠距離力の長距離補正を行うエワルドの方法の三斜晶系に対するバージョンのインストールが完成していないためである。
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Strategy for Future Research Activity |
遠距離力の長距離補正を行うエワルドの方法の三斜晶系に対するバージョンのインストールをPRNHC型のPIMDプログラムにインストールさせて、氷系に対する完全なプログラムコードとして完成させる。氷Icに対する定温圧縮シミュレーションをこの自作ソフトウェアを使って行う。PRNHC-PIMDシミュレーションを氷Icを初期配置にして分子数512個、トロッター分割数120、MDステップ1×10-17秒の条件で、77 Kで0 Paから100 GPaまで静水圧を印加して実行する。各T-P点に対してPIMDシミュレーションから、原子の空間分布関数、内部エネルギー・エンタルピー等の熱力学量を計算で求める。動径分布関数や結合角分布関数などの解析によって構造をキャラクタライズする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、平成23年度導入のワークステーションが予算範囲よりこの額だけ安価に導入できたためであり、この額は平成24年度の当初研究費とあわせて使用する。平成24年度には計算資源をさらに確保するため、追加のワークステーションを導入し、また他研究者と研究討論をするため、旅費等にも使用したり、論文投稿料にも使用する予定である。
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