2011 Fiscal Year Research-status Report
超薄膜電気容量測定による臨界カシミール効果の直接観察
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23654154
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 臨界カシミール効果 / 電気容量測定 / 高分子ブレンド系 / 微小力測定 |
Research Abstract |
本研究では、秩序パラメータの熱揺らぎの空間相関長が発散する2成分ブレンド系の臨界点近傍で発生する臨界カシミール力の検出を行うために、超薄膜での電気容量測定技術を発展させた新たなシステムを確立し、その技術の応用により、高分子超薄膜系でのガラス転移の特性長の直接観察への挑戦を行うことが目標である。今年度は 1) 本実験に適したブレンド系の選択、2) ブレンド系での誘電緩和特性の観測を中心に研究を進めた。1) に関しては,PSとPVMEブレンド系をメインに考えていたが、室温での安定性の観点から、不適当であることが判明した。そこで、ブレンド系として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とポリエチルメチルシロキサン(PEMS)のブレンド系およびポリ酢酸ビニル(PVAc)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブレンド系を調べることとした。PDMS/PEMS系の相図作成のために、動的・静的光散乱を実施している。PVAc/PMMA系に関しては、誘電緩和測定と示差熱量測定により、相溶性の確認を行った。2) に関しては、PVAc/PMMA系において、特に、これらの高分子の異種積層薄膜を作成し、相溶性と界面相互作用、さらには、電気容量の関係を誘電緩和測定により調べ、これらの系での電気容量測定から、微小な力の検出の可能性について検討した。臨界点近傍での高精度での温度コントロールが必要であるため、当初の目的である、臨界カシミール効果検出への挑戦には今のところ至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、高分子ブレンド系であるPS/PVMEを対象として研究することを想定していたが、予備実験の段階で、同ブレンドはその取扱いが非常に難しく、予定している電気容量測定には不適であることが判明した。そのために、対象とする高分子ブレンドをPDMS/PEMSおよびPVAc/PMMAブレンドとすることにした。しかし、これらの高分子ブレンド系に対しては、十分な知見を有していないため、ブレンドとしての特性から調べる必要が生じ、その測定のために、余分な時間が掛かっている。現在、最短の方法でのこれらブレンド系の特性を抽出しており、当初の予定のタイムスケジュールに戻すべく最善を尽くしているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次の点を中心に研究を進めていく。1) PDMS/PEMSブレンド系における臨界現象を動的・静的光散乱により調べ、その相図、臨界挙動を明にする。その後、この系でのカシミール効果の検出に向けて、超薄膜の作製し、さらには電気容量測定を行う。2) PVAc/PMMAブレンド系に対して、異種積層薄膜を作製し、その誘電特性を調べる。この測定を通して、これらの高分子の界面での相互作用と誘電ダイナミクスとの関係を明らかとする。3) 上記を踏まえた上で、ガラス転移が起こりうるシステムでは,高温の液体状態で存在している α 過程の特性時間ταがガラス転移温度に近づくとともに VFT 則 τα(T )= τ0 exp(U/(T - T0 )) に従って,発散的に増大することが知られている.特性時間と空間相関長の関係については,様々な理論的な予測がある.P.G. de Gennes & M.E. Fischer の理論より予測される臨界カシミール力の大きさと 2 枚の極板間隔の関係,および揺らぎの相関長とカシミール力の関係から判断し,測定可能な極板間隔,膜厚を予測する.4) 以上をもとにして,様々な条件下での高分子1成分系のガラス転移点近傍での臨界カシミール力の存在の有無を実験的に明らかにする.さらに,得られたデータを解析し,総合的に判断することにより,ガラス転移の特性長と臨界カシミール力との関係を明確にする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、繰越した額を含め、以下のように使用する。1) 物品費 高分子試料代、ヒータ・熱電対代 1,200千円 2) 旅費 成果発表旅費、資料収集旅費 672千円3) 謝金 実験補助者雇用 140千円4) その他 成果印刷費 90千円
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Research Products
(7 results)