2013 Fiscal Year Annual Research Report
超薄膜電気容量測定による臨界カシミール効果の直接観察
Project/Area Number |
23654154
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Keywords | 臨界カシミール効果 / 電気容量測定 / 超薄膜 / 相溶性高分子 / 臨界現象 / LCST / 誘電緩和 / 高分子多層膜 |
Research Abstract |
本研究では、秩序パラメータの熱ゆらぎの空間相関長が発散する2成分ブレンド系の臨界点近傍で発生する臨界カシミール力の検出を行うために、液体系での電気容量測定を超薄膜系へ応用することが、不可欠であった。 1. 昨年度、ポリジメチルシロキサン(PDMS)とポリエチルメチルシロキサン(PEMS)のブレンドに対して行った電気容量測定により、臨界点近傍で異常な変化が観測されてされていたが、今年度、解析を行った結果、臨界カシミール力との関係は現在までに得られていない。また、同測定の超薄膜への応用は、様々な技術的な困難が発生したため、成功には至らなかった。 2. 本研究遂行のために必要な高分子ブレンド系の臨界点近傍での誘電緩和挙動を調べるために、ポリスチレン(PS) とポリ2クロロスチレン(P2CS)をモデル系として取り上げた。この高分子ブレンドはLCST型の高分子ブレンドで、150Cあたりに臨界点を有する系である。特に、超薄膜系での臨界点近傍での誘電緩和挙動を調べるために、P2CS超薄膜をPSの薄膜内の様々な位置に挟み込んだ高分子多層膜を作成し、PSとP2CSの相溶性と誘電緩和挙動の関係を一層領域から、臨界点近傍まで迫ることにより調べた。P2CSの薄膜内での位置に依存した誘電緩和挙動が観測され、臨界点に至るまでの温度領域で、PSとP2CS界面でのダイナミクスの位置依存性が明らかとなった。これらの結果を、当初の目的である臨界カシミール力検出へと発展されるには、多くの理論的・実験的な困難があると思われるが、今後ともこの点に注意しつつ、実験を継続してくこととする。
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