2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 敦子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20450653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 哲 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292713)
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Keywords | 微動 / アスペリティ / 粘弾性 |
Research Abstract |
スローアースクエイクと呼ばれる、人間が感じるような地震波を出さずに断層が滑る現象の存在が最近明らかになっている。スローアースクエイクは通常の地震より深い場所で起こる。しかしなぜその場所で起きるのか、わかっていない。そこで本研究では地震学分野ではこれまであまり行われてこなかったモデル実験により、スローアースクエイクのすべりのメカニズムを研究している。平成24年度は2年の研究計画の最終年度にあたる。今年度はスローアースクエイクが起きる場所に着目して研究を進めた。一般に、地震は岩盤が弾性体として蓄積した歪を解放する為に発生する。しかし、地球を構成する岩石は長い時間スケールでは必ずしも弾性体として振る舞うとは限らない。長い時間スケールではひずみエネルギーを蓄積せずに変形する、粘性流体として振る舞うと考えられる。実際、固体の地球の深部を構成する岩石でできたマントルは粘性流体として対流している。この弾性/粘性の境界付近で起きる変形を理解する事を目的として緩和時間を持つ流体を用いた実験を行った。その結果、地震は発生するものの、その地震においてすべての歪は解放されない場合がある事を発見した。これは、歪蓄積過程の変形は緩和時間よりも長く、歪解放は緩和時間よりも十分に速い現象である為に起こると考えられる。結果を論文としてまとめ、投稿したが、出版には至っていない。本研究の結果は地震学的、テクトニクス的に重要な発見である。よって、科学研究費助成事業の年度内には達成できなかったものの、早急に出版できるよう、継続的に努力したい。
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