2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 浩明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40207519)
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Keywords | 地震災害・予測 / 津波 / 地磁気 |
Research Abstract |
本研究で言う「海底観測所」とは,西太平洋で稼働中の海底長期電磁場観測ステーション(SeaFloor ElectroMagnetic Station: SFEMS)を指す。本研究では,研究期間を通じて複数回の海域実験を実施し,これらの電磁場観測ステーションに高感度差圧計を付加する事に成功した。これにより,津波の力学的性質と電磁気学的性質を同時に観測する事が可能になり,海底オンラインリアルタイム津波早期警戒システムのクライアント・センサーとしての性能を有するに至った。 得られた同時記録から,津波起源磁場の鉛直成分が津波波高の良い近似値を与える事が分かった。これは,伝導的な海水の津波に伴う粒子運動が,地球主磁場とカップリングして発生した「津波ダイナモ効果」によるものである。さらに,良導体である海水中の自己誘導効果(津波ダイナモによって生成した電磁場が津波の伝播と共に海水中を移動する際,電磁場の変化を自分自身で妨げようとする効果)によって,磁場の水平成分が津波に先行して発生する事も明らかになった。この事は津波の早期警戒・予測にとって非常に重要であり,SFEMSを始めとする海底観測所のリアルタイム化の必要性を再認識させる成果となった。 また,海底観測所データの陸上へのリアルタイム転送に関しては,現行のリアルタイムシステム(米国のDARTやイタリアのSN1システム)にSFEMS等を組み込むよりも,海底観測所に音響モデムを増設し敷設点直上に衛星とリンクした定点ブイを設置した方が,はるかに安価で実効的である事が判明した。すなわち,太陽電池とイリジウム衛星端末および海底部と対となる音響モデムを搭載した自律定点ブイ(米Liquid Robotics社製Wave Glider)と高感度差圧計/音響モデム付きSFEMSとの組み合わせで海底観測所のリアルタイム化が実現できる事が分かった。
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Research Products
(4 results)