2013 Fiscal Year Annual Research Report
海洋で不規則な渦から秩序ある平均流が発生してくる仕組みの包括的研究
Project/Area Number |
23654167
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 章 九州大学, 応用力学研究所, 学術研究員 (60091401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 元太 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (30301948)
平原 幹俊 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 主任研究官 (70354545)
中野 英之 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 主任研究官 (60370334)
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Keywords | 不規則渦群から自発する組織構造 / 縞状東西流 / 再循環流 / 傾圧不安定 / 絶対渦度零の平均剪断流 / ロスビー波 / 三波相互作用 / 運動量・渦度の再配分 |
Research Abstract |
β面準地衡乱流では等方スペクトルから出発しても次第に渦径が増し東西流が卓越してくる.東西流の南北幅が Rhines 波長になると普遍スペクトルに達し発展が止まるという.しかし縞状東西流発現に関するこの従来記述は力学を欠く.抑も,何故東西流が卓越してくるかという最大の謎を説明できない.本年度は既往見解を吟味・批判し実験・考察に基づく新しい説明(密度成層の有無に依らない力学概念模型)を提出した.例えば最終的な東西流の南北幅やスペクトルは初期値(や発展段階)に依存することを示した.普遍スペクトルがありこれに達すると止まるとは限らない.また Vallis の遮蔽域は当初から見えている.特性乱流速度で決まる遮蔽波数域が成熟段階で現れるのではない.特筆すべきは,強い相互作用のない「遮蔽」波数域で起こるスペクトルの初期発展を弱非線形力学模型で解明したことである.更に,東西流が卓越してくる仕組みの一つを基礎方程式から明らかにした.これは大きな成果である.要点はエネルギーとエンストロフィーを保存する三波数相互作用とロスビー波の分散関係にある. 再循環流形成問題では,不規則渦によらずとも規則的な振動する擾乱源があれば主流側面に反流が現れる理由を明らかにした.これにはβ効果が深く関与する.同じく海神効果も地形性ロスビー波の性質が重要になる.傾圧不安定については最も理想化し単純化した模型を提出し,傾圧不安定に起因する乱流がβ面で東西流を作ることを確認した.絶対渦度零平均剪断流の形成因には限界安定性が効いているらしいことまでしか分からなかった.尤もこの概念は再循環流や縞状東西流の仕組みに関係するかもしれない.鍵となる概念について幾分の深化があったが今後の課題である. 期間全体: 難かしい課題にも拘わらず望外に良い成果と今後の展望を得た.代表者は定年だが分担者によって本課題の更なる発展が期待できる.
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Research Products
(4 results)