2012 Fiscal Year Annual Research Report
高速進展する断層ラプチャー先端の応力場と破砕現象の解明
Project/Area Number |
23654170
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西川 治 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90375220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 憲四郎 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (70004497)
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Keywords | 断層 / 固着すべり / 応力場 / ガス圧式三軸試験機 / 粉砕 |
Research Abstract |
本研究では、地震性の固着すべりにともなう粉砕現象を実験的に再現し、そのメカニズムを考察した。実験では、単結晶石英と細粒石英集合体をガス圧式三軸圧縮試験機で高速すべりさせ、破砕を生じさせるとともに力学データを取得した。断層ラプチャー先端部が通過するきわめて短い時間に生じる局所的な応力場の変化をも捉えるために、実験システムを改良し、5MHzで10チャンネルを同時観測出来る観測システムを構築した。これにより、スリップ時の断層ラプチャー開始点が末端部にあり、進展速度がS波速度を超えていることを確認できた。 平成24年度の研究では、固着すべり実験で破砕した試料のダメージを評価する目的で、実験後に回収されたコアを解析した。割れ目の卓越方向や密度分布などの詳細を正確に把握するために、試料のX線CT画像を取得し、3次元観察をおこなった。 割れ目の方向は、スリップ方向に垂直~40度程度斜交し、コア軸に平行な割れ目が卓越する。割れ目密度は、スリップ面近傍で非常に高く、面から離れるにしたがって急速に低下する。また、面近傍では、引きずりによって2次的な割れ目が発達する。このような割れ目のパターンを反映し、ダメージの激しいスリップ面上では、スリップ方向に垂直なリッジとクレバスが繰り返し発達する。スリップ面上でダメージの強さは不均質な分布を示す。また、本研究では、固着すべり発生時の軸応力は非常に大きく400MPa 以上を示している。これらのことから、スリップ面内には大小のアスペリティが存在しており、非常に高い垂直応力下ですべりが発生したときには、強い引っ張り力が面内で局所的に作用し、モード1割れ目が同時に多数形成されて粉砕したのであろう。このような破壊現象は、非常に大きな垂直応力下で発生しうる断層のダメージゾーン形成のメカニズムとして重要であると考えられる。
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