2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛇紋岩の残留磁化の起源:新たな古地磁気学研究対象になるか?
Project/Area Number |
23654173
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乙藤 洋一郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90160895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 康司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10510745)
佐藤 鋭一 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40609848)
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Keywords | 蛇紋岩 / 残留磁化 / テクトニクス |
Research Abstract |
1.残留磁化測定:2011年度に採取した九頭竜湖岸に分布する蛇紋岩と、2012年度に採取した日立大田周辺に分布する蛇紋岩について、残留磁化を測定した。【九頭竜湖岸】熱消磁で残留磁化は580℃でなくなり、マグネタイトが磁化を担っていることがわかった。残留磁化は、熱、交流消磁に対しては、その方向は変えずに、偏角90°~120°、伏角50°下向きであった。この方向は、30-35Maの西南日本の残留磁化方向である偏角65.9度、伏角48.6度よりやや大きい東振りを示すものの、時計回り偏角を示した。【阿武隈山地】2か所の蛇紋岩は、残留磁化の方向と消磁に対する挙動が異なっていた。MI 11のサイトのほとんどの岩石は、580℃で磁化を失い、マグネタイトが磁化を担っていることがわかった。このことは、20mTの交流消磁でほとんどの磁化を失う実験事実と調和的である。磁化方向は偏角0°、伏角50°であり、近年に磁化を獲得した残留磁化である。一つの試料は、300℃までは正帯磁であったがそれを超える高温の消磁で偏角200°、伏角-10°を示した。MI 12のサイトの岩石は、ゲーサイトの磁化が消磁されると、すべて上向き伏角をしめす方向を指した。偏角方向は北西300°から北東40°の間に分布していた。阿武隈の蛇紋岩は、東北地方の白亜紀で観察できる、偏角-50°の方向と異なる向きを示した。 2.考察:西南日本の蛇紋岩の残留磁化の方向は二つの方向を示すことがわかった。(1)近年残留磁化を獲得し、北向き偏角を示す蛇紋岩(白馬・親不知)と、(2)西南日本の回転以前に残留磁化を獲得した東振り偏角を示す蛇紋岩(若桜・大江山・九頭竜)。西南日本で、東振り偏角を示す白亜紀以降の岩石が分布する領域で見つかる蛇紋岩には、西南日本の回転を記録したものがあることがわかり、蛇紋岩は古地磁気学に用いることができる可能性が出てきた。
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