2011 Fiscal Year Research-status Report
火山噴出物中の揮発性成分定量分析に関する新手法の開発
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23654182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 顕微赤外分光 / 反射スペクトル / 含水量 / ガラス包有物 / マグマ |
Research Abstract |
赤外光の反射率にはある程度の主元素組成依存性があることが予想されていた.そこで,玄武岩~安山岩組成で含水ガラスの標準試料を内熱式ガス圧装置で合成した.このガラス試料について,カールフィッシャー装置を用いて,含水量を精密に決定し,それらの含水量と反射率との間の検量線の作成を行った.この結果,含水量0.1 から5.5 wt%,玄武岩~安山岩組成の範囲で,30 ミクロン四方の分析サイズがあれば,顕微赤外反射分光法によって迅速に含水量に定量分析が行えるようになった.加えて,斑晶ガラス包有物の正確な分析ができるように斑晶の反射の影響を補正する方法について検討し,かんらん石斑晶についてはその補正方法を確立した.また,より高感度の検出器の導入しシグナル・ノイズ比の向上をはかった結果,15 ミクロン四方の試料でも,これまでの30 ミクロン四方の試料と同等の信号強度が得られることがわかった,現在は,この15 ミクロン四方のサイズについて検量線を作成に取り組んでいる.さらに,反射法の有効性を確認するため,天然試料の分析にも取り組んだ. 2011 年1月の霧島火山の噴火をうけて,当初の計画にはなかった霧島火山噴出物に含まれるガラス包有物の含水量定量を実施した.2011年1月27日に放出された灰色軽石のかんらん石斑晶中に含まれるガラス包有物の中で, 30 ミクロン四方のサイズが確保出来る13 個の試料について分析を行い,それらの含水量を1.6 から5.5 wt%と決定した.この中で最も高含水量のものを飽和圧力に換算すると約250MPa (深度約10km)となり,物質科学的にマグマ溜まりの存在領域に制約を与えることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施時期の多少の前後はあるが,3年間の全体計画の中で予定した作業について,およそ1/3にあたる量を実施できた.また,予定外である天然試料の分析についても,2011年霧島噴火を受けて実施し,現在実用化に向けて取り組んでいる顕微赤外反射分光法の有効性を確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
水の定量に加えて,二酸化炭素測定のための手法開発を行う.また,データ解析の方法についても検討を行い,ノイズリダクションの操作や,スペクトルのピーク値の自動読取等について自動処理できる環境を構築する.また,検稜線作成の組成範囲をデイサイト質ガラスにまで拡張し,分析可能な天然物の組成を広げる.加えて,試料表面の平滑度の分析結果への影響の評価や,計測時の斑晶によるデータ汚染量評価,および,その補正方法を検討し,天然試料の分析環境を整備する.以上の得られた研究結果をとりまとめ成果の発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に,検量線作成用の含水ガラスの合成のための実験用消耗品の購入,および,分析用の試薬の購入に充てる.一部は,天然試料の採取や研究成果発表のための旅費に充てる.
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Research Products
(3 results)