2013 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴出物中の揮発性成分定量分析に関する新手法の開発
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23654182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
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Keywords | 含水量 / マグマ / ガラス包有物 / 顕微FTIR / 反射法 / 班晶 |
Research Abstract |
今年度は,開発した顕微FT-IR反射分光法の普及のための作業を中心に研究をおこなった.まず,反射スペクトルのピーク高さを読み取るプログラムを作成した.個人の主観による読み取り値の変動を防ぎ,一定の質でデータ生産を行うためには極めて有効である.次に,このプログラムを用いて,32個の合成ガラスのスペクトルから含水量測定のための検量線を作成した.弱い組成依存性が存在するため,玄武岩組成,安山岩組成,流紋岩組成の3つに分けて検量線を公開した.分析サイズによる影響も調べたが,100ミクロン角と30ミクロン角の視野サイズでは誤差を超えて有為な差はみられなかった.加えて,分析視野内に入った班晶量を補正して含水量を求めるプログラムを作成した.ガラス包有物,班晶,基準ガラスの3つのスペクトルファイルを与えれば,自動的に作図とピーク高さの表示を出力する.このため,多数の分析データを効率よく処理することができるようになった. 以上のように分析環境を整えた上で,天然試料への手法の応用を行った.対象とした分析試料は,富士火山1707年宝永噴火の白色パミスである.この試料に含まれる斜方輝石斑晶の多くは,ガラス包有物を捕獲しており,顕微FT-IR反射分光法で分析したところ,4から4.5 wt%の含水量であった.これは1から1.5kb程度の飽和圧力に相当する.一方,共存する班晶鉱物の組成からは白色軽石のもとになった珪長質マグマ溜まりの存在した圧力は 1から1.5kb (深度 4から6km)であることがわかった.したがって,白色パミスの元になった珪長質マグマは噴火前に水に飽和していたことになる.簡便に含水量測定が行えるメリットを生かした本研究によって,宝永噴火の噴火過程を理解する上で重要な知見を得ることができた.
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Research Products
(7 results)