2011 Fiscal Year Research-status Report
非平衡凝縮プロセスにおける速度論的同位体分別:惑星物質科学への応用
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23654183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 省吾 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50361564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属鉄 / 凝縮 / 同位体分別 / コランダム / 速度論 |
Research Abstract |
初期太陽系円盤において,固体物質は気相からの凝縮でつくられたと考えられている.一旦,気相を経ることで,太陽系固体物質にみられる同位体の均質性も説明される.始原隕石コンドライト構成物質のなかには形成に凝縮過程が関与したと考えられる物質が多数存在する.凝縮は初期太陽系での物質進化の鍵となる化学反応である.初期太陽系円盤での様々な時間スケールでの凝縮を理解するためには,凝縮の速度論的理解が必要であるが,ようやく室内実験で理解されつつある状況である.また,凝縮時に速度論的同位体分別が起こる可能性があるが,その理解は不十分である.本研究計画では,主要鉱物である鉄,初期太陽系で最初に凝縮する鉱物コランダムに注目し,凝縮時の速度論的同位体分別を初めて定量的に求めることをめざす.当該年度は金属鉄凝縮実験の高精度化をはかった.不均一核形成させる基盤の研磨状況などを確認し,その後の分析への利便性を考え,研磨されたコランダム単結晶上へ凝縮させることとした.また,凝縮速度の決定および同位体分析用の試料準備のために集束イオンビーム装置(FIB)での試料加工試験もおこない,加工技術を開発した.さらに同位体分析のための打合せを専門家とおこない,ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)による高精度分析,SIMS(二次イオン質量分析計)による高空間分解能分析の両者を引き続き検討することとした.コランダムに関しては凝縮実験は研究グループ内で成功し,速度論パラメータの取得に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属鉄に関しては予定以上に順調に進行しており,同位体分析の前段階までの技術開発は終了し,また実験も進行しており,研究年度終了までに同位体分別の評価が可能になると考えている.コランダムに関しては凝縮実験までは成功した.しかし,凝縮量が少なく,同位体分析が充分におこなえるかどうかは今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
金属鉄の実験は当初予定どおり継続し,同位体分析をおこなう.コランダムに関しては凝縮量が少なく同位体分別の評価が困難となった場合には凝縮の逆反応である蒸発時の酸素同位体分別の評価をおこなう.蒸発に関する同位体分別についてもコランダムはわかっていない状況である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
代表者の異動にともない,実験装置の移設をおこなう.移設に際して不具合など発生する可能性もあり,装置およびその周辺の物品購入が主となる.また,結果を学会等で発表するための旅費も使用する.
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