2012 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡凝縮プロセスにおける速度論的同位体分別:惑星物質科学への応用
Project/Area Number |
23654183
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橘 省吾 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50361564)
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Keywords | 金属鉄 / 凝縮 / 同位体分別 / コランダム / 速度論 |
Research Abstract |
初期太陽系円盤において,固体物質は気相からの凝縮でつくられたと考えられている.一旦,気相を経ることで太陽系固体物質にみられる同位体の均質性も説明される.始原隕石コンドライト構成物質のなかには形成に凝縮過程が関与したと考えられる物質が多数存在する.凝縮は初期太陽系での物質進化の鍵となる化学反応である.初期太陽系円盤での様々な時間スケールでの凝縮を理解するためには,凝縮の速度論的理解が必要であるがようやく室内実験で理解されつつある状況である (e.g., Tachibana et al., 2011).また,凝縮時に速度論的同位体分別が起こる可能性があるが,その理解は不十分である.本研究計画では,主要鉱物である鉄,初期太陽系で最初に凝縮する鉱物コランダムに注目し,凝縮時の速度論的同位体分別を初めて定量的に求めることをめざす.金属鉄凝縮実験の高精度化をはかり,不均一核形成させる基盤の研磨状況などを確認し,その後の分析への利便性を考え,研磨されたコランダム単結晶上へ凝縮させることとした.凝縮速度の決定および同位体分析用の試料準備のために集束イオンビーム装置(FIB)での試料加工加工技術を開発した.コランダムの凝縮速度論に関する論文は現在準備中である.当該年度開始時に所属が変わったため,実験装置を全体を移設することになり,移設の結果,装置の真空度が上がらないトラブルが発生し,真空排気装置を交換することになり,実験を終わらせることはできなかった.その後,装置は復旧し,基盤材料としてのフォルステライト結晶も準備できたため,今後実験を継続することが可能な状態となった.実験装置修理の期間を利用して,凝縮時の酸素同位体分別を調べるための同位体濃縮水蒸気導入ラインの製作を他の装置を使って実施し,開発が完了した.
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