2011 Fiscal Year Research-status Report
沈み込み帯での炭素循環新情報発信へ:微少量グラファイトの局所炭素同位体比分析
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23654185
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森下 知晃 金沢大学, フロンティアサイエンス機構, 准教授 (80334746)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 炭素同位体 / グラファイト / 沈み込み帯 / 炭素循環 / かんらん岩 / 変成岩 |
Research Abstract |
本年度は以下の2点について重点的に検討した。(1)グラファイトのマイクロスケール炭素同位体測定方法の確立:ハワイ大学のSIMSを用いてぐらいファイトのマイクロスケールの同位体測定方法を確立するべく,スタンダード試料の選択、同位体組成分析時の誤差について検討した。スタンダードとしては、2種類の異なる形態のものを検討した。1つはNIST8541と呼ばれる粉末試料で,エポキシ中にプレスした状態のものを使用した。もう1つは,変成岩中の炭素粒子(Satish-Kumar et al., 2011, Contributions to Mineralogy and Petrology, 162, 821-834)を使用した。結果,いずれの試料を用いた時でも,測定条件は大きく変わらず,また試料間では大きな同位体分別が無い事がわかった。(2)測定試料の選定と準備:『沈み込み帯試料』の中から,測定に用いるための試料の準備と選定を行った。試料は,(a)沈み込み帯マントルウエッジに相当する捕獲岩であるスペインTallante火山岩中の試料(b)新潟県糸魚川産のグラファイトを含むひすい輝岩,(c)接触変成岩中の高温部から低温部(Aoya et al., 2010, Journal of Metamorphic Geology, doi:10.111/j.1525-1314.2010.00896.x), (d)温度圧力履歴が詳細に検討されている三波川変成帯中の泥質変成岩類(Inui, 10, Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 105, 274-279)について準備をして検討した。その結果,それぞれの試料中に測定可能なグラファイト粒子が含まれていることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定条件の決定を行う事ができ,また測定試料についての検討までは完了した。本年度行う予定だった実際の分析についてマシンタイムが確保できずに測定することができなかった。しかし,それは,新しいスタンダード試料となり得る試料を今年度新たに取得できたためである(Satish-Kumar et al., 2011)。分析手法の確立が本研究の鍵でもあるので,異なる試料を用いて慎重に測定条件を決定した為に,実際の試料の測定時間を確保することができずに,予定よりもやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度準備した測定試料について、まずは測定粒子の詳細な観察を電子顕微鏡を用いて行う。その測定結果を用いた上で,試料中のグラファイトの局所炭素同位体比の測定を行う。測定を行う試料は(1)マントル試料,(2)ひすい輝岩試料,(3)熱影響としては短時間である接触変成岩試料,(4)熱影響としては長時間である広域変成岩試料の順に測定を行う。(1)のマントル,(2)ひすい輝岩試料に関しては,炭素同位体からその炭素の起源についての検討も行う。 また,(3),(4)試料の検討と、熱モデルによって熱影響の時間スケールと炭素同位体の均質化,炭素同位体分別について温度圧力条件の影響について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析条件のを確立させるためにかかるマシンタイムが,想定していた時間よりも多く必要となった。また,その後,試料解析用に予定していたマシンタイムを,ハワイ大の研究者および申請者の両方の予定のずれで確保することができなかった。次年度使用額が発生した状況は、上記の理由で研究の進捗がやや遅れたためであり、翌年度以降に請求する研究費と合わせた使用計画については、今後は,4月,9月か10月,1月か2月の間に3回の測定をハワイ大学と共同で行い,1回の滞在期間を長くすることで対応する。上記の試料に関して観察と測定を行うことで、予定の試料を分析できる見込みである。これらの結果をもとに,グラファイトの成因と温度圧力ー時間条件の違いによる炭素同位体分別,均質化について検討し,国際研究専門雑誌に論文投稿を行う。特に変成作用については,流体の影響について検討を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Insight into the uppermost mantle section of a maturing arc: The Eastern Mirdita ophiolite, Albania2011
Author(s)
Morishita, T., Dilek, Y., Shallo, M., Tamura, A., Arai, S.
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Journal Title
Lithos
Volume: 124
Pages: 215-226
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Diversity of melt conduits in the Izu-Bonin-Mariana forearc mantle: Implications for the earliest stage of arc magmatism2011
Author(s)
Morishita, T., Tani, K., Shukuno, H., Harigane, Y., Tamura, A., Kumagai, H., Hellebrand, E.
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Journal Title
Geology
Volume: 39
Pages: 411-414
DOI
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[Presentation] Partial melting, modal metasomatism and serpentinization due to multiple infiltrations of geofluids in the Finero Mafic-Ultramafic Complex, Italy2012
Author(s)
Morishita, T., Zanetti, A., Mazzucchelli, M., Yoshikawa, M., Suzuki, T., Tamura, A.
Organizer
Joint Symposium of Misasa-2012 and Geofluid-2(招待講演)
Place of Presentation
Tottori, Japan
Year and Date
2012,3,19
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[Presentation] Peridotites of the Izu-Bonin-Mariana forearc and the Eastern Mirdita ophiolite (Albania) : implications for igneous activity during subduction initiation2011
Author(s)
Morishita, T., Tamura, A., Tani, K., Dilek, Y.
Organizer
American Geophysical Union, Fall meeting
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2011,12,9
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