2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 友明 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40312540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 工 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90214379)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 相転移 / 塑性流動 / 放射光 / 高圧実験 / マントル / 対流運動 |
Research Abstract |
相転移と流動のカップリング現象を高圧実験に基づいて明らかにすることを目的とし、本年度は下記の研究を行った。1)差応力下でのオリビン-スピネル相転移実験:SPring-8において変形マルチアンビル高圧装置と放射光単色X線を用いてNi2SiO4のオリビン-スピネル相転移カイネティクスの2次元X線回折時分割測定を行った結果、差応力が核生成に必要な過剰圧を減少させる可能性を見出した。沈み込む海洋プレートの相転移プロセスを理解する上で差応力の効果を検討することが重要である。2)シリカの高圧相転移実験:上記の手法と二段加圧方式を組み合わせ、より高圧下でシリカのコーサイトースティショバイト相転移実験を行い回折斑点数の増加から核生成プロセスを観察した。またエネルギー分散法を用いた時分割測定により、シリカの非晶質化と高圧相の結晶化カイネティクスを観察し、最下部マントルで安定なザイフェルタイトが非常に低圧で準安定に核生成することが明らかになった。シリカ鉱物の相転移を用いて衝撃隕石の時間スケールを制約する可能性が示された。3)共析反応物質の相転移および塑性流動実験:Photon factoryにおいて1)の手法で差応力下においてアルバイトの共析反応実験および回収試料のEBSD解析を行い、共析コロニーの形成とその特異な塑性流動プロセスを明らかにした。ポストスピネル相転移のカイネティクスと合わせて検討することにより、下部マントルに突入する海洋プレートの強度変化に新しい制約を与えた。4)スピネル-ガーネットカンラン岩相転移のプロセスとカイネティクスの解明:天然の深部カンラン岩に見られるガーネット反応帯やスピネルを含むシンプクレタイトの形成メカニズムとカイネティクスを実験的に明らかにした。天然の岩石反応組織と比較することで上部マントルの相転移流動プロセスを制約した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに進行しているが、マントル遷移層条件での放射光単色X線二次元時分割測定技術をさらに改良する必要がある。また当初計画していたpolymorphicなオリビンースピネル相転移だけでなく、共析反応や脱水反応、拡散反応、衝撃相転移などより幅広い反応プロセスを取り入れた研究に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実際のマントル対流運動においては、シンプルな多形の相転移だけではなく共析反応や脱水反応、拡散反応も起こっており、反応プロセスによって塑性流動に与える影響も大きく異なることが予想される。今後はより幅広い反応プロセスを取り入れた実験を行い、流動とのカップリング現象に関して比較検討を行う。また衝撃を受けた隕石に見られる相転移プロセスとの関連も検討する。さらに高圧下でのAE測定技術の開発に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を遂行するために、高圧実験に必要なアンビル、切削工具、また放射光実験に出張するための旅費、国内外の学会で研究成果を公表するための旅費に使用する。
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Research Products
(13 results)