2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノビーム分析技術を駆使したダイヤモンドの新成因に係わる物質科学的検証
Project/Area Number |
23654192
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日高 洋 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10208770)
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Keywords | 天然原子炉 / 高エネルギー粒子 / 放射線照射 / ダイヤモンド |
Research Abstract |
本研究は,高エネルギー粒子の多量照射によってダイヤモンドが生成される可能性(Kaminsky仮説)を検証するために,オクロの天然原子炉内部から採取された炭質物からダイヤモンドが濃集すると予想されるフラクションを抽出し,ダイヤモンドの存在の有無を確かめることを目的としている。対象となる天然原子炉試料が保管されているフランス・ストラスブールにある国立科学研究センター表層地球化学研究所(以下CGS)から,過去の研究より原子炉反応のもっとも激しい部位の試料3種類を選別した。まず,所定の手法によりCGSにて試料から有機物フラクションのみを分離した。その後,ワシントン大学甘利教授の協力を得て,炭素質コンドライト隕石からダイヤモンド粒子を分離回収する手法(Amari et al., 1994)により,有機物フラクションからダイヤモンド粒子を含むと思われるフラクションの化学分離をおこなった。同フラクションには0.1mm径程度の無数の粒子が含まれているのを光学顕微鏡により確認した。回収粒子を無作為に選別し,電子線マイクロプローブによる元素分析を行い,炭素の濃集している部位を含む粒子を選別し,レーザーラマン分光によるスペクトル分析を行ったところ,いくつかの粒子については1332 cm-1の波数領域にダイヤモンドに固有の顕著なピークが確認できた。同試料について,現在,透過型電子顕微鏡による構造観察を実施しているところである。
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