2011 Fiscal Year Research-status Report
新機能性探求へ向けたプラズマフォトニック結晶内部の直接波動計測
Project/Area Number |
23654197
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高橋 和貴 岩手大学, 工学部, 助教 (80451491)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマフォトニック結晶 / マイクロ波 |
Research Abstract |
本研究では,プラズマを周期的に配列し,気相中に周期的な誘電率の変化構造を形成したプラズマフォトニック結晶を生成し,内部の波動を直接計測することで,フォトニック結晶の新機能を実験的に探究することを目的としている. 初年度であるH23年度は,幅45cm,長さ60cmの角型真空容器内部に周期的な電極を有する陰極と平板の陽極を設置して,真空容器内部を減圧後にアルゴンガスを導入し内部圧力を10Pa程度に保ち,直流放電によりプラズマ周期構造の形成を行った.まずは研究基盤の確立を目的として,プラズマパラメータや空間分布の計測を効率的に実現可能な計測システムを構築し,その周期構造を計測したところ,電極の間隔に相当する空間スケールでプラズマ周期構造が形成されていることが分かった.ここで観測されたプラズマ密度は1e9(/cc) 程度であった. このプラズマ中にダイポールアンテナを用いて数GHz帯の電磁波を入射し,対向側で同様のダイポールアンテナで電磁波の計測を行ったが,今回の実験では電磁波の明確なバンドギャップは観測されなかった.これはプラズマ密度が薄いことが原因であると考えられる.そこで当該年度購入備品である400kHz電源を導入しプラズマ生成を行ったところ,比較的密度が高いプラズマ配列が得られることが目視で確認できた.現時点では電源と負荷のインピーダンス整合により投入電力が制限されているため,整合回路の最適化により大電力化と高密度化を進め,詳細なプラズマ計測を行う必要がある.また,このプラズマ中へ上記と同様の手法で電磁波を入射し,バンドギャップの発現する条件を模索する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である当該年度は,プラズマ生成・計測システムの確立と,電磁波計測技術の確立が主な遂行予定内容であり,これらのシステムを構築し研究基盤を確立した.マイクロ波帯におけるバンドギャップは今回は観測されなかったものの,この原因がプラズマ密度が薄いことに起因していることを示し,プラズマの高密度化という課題に対しては,400kHz電源を導入して解決可能である可能性が高いことが分かった.以上の理由によりおおむね研究遂行は順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験結果を踏まえて,まずは400kHz帯でのプラズマ生成電極と電源のインピーダンス整合を行う.ここでは,昇圧トランスに加えて高圧コンデンサやインダクタを用いてプラズマ生成時のインピーダンスを調整することで実現する.インピーダンス整合が可能になり次第,投入電力を増大しプラズマの高密度化を実現する.この状態で,初年度に確立したプラズマ空間分布計測システムを用いてプラズマ周期構造の形状,およびプラズマ密度の絶対値などを計測する. 続いて,上記で生成したプラズマフォトニック結晶の長手方向からダイポールアンテナを用いて数GHz帯の電磁波を入射し,長手方向対向側に設置した受信ダイポールアンテナで結晶を透過した電磁波の信号を計測する.ここでは現有のネットワークアナライザーを用いて透過係数を精度よく計測する. プラズマ生成用電力,動作ガス圧等の各種パラメータを変化させて,マイクロ波帯のバンドギャップが発現する領域とプラズマパラメータとの関連性を明らかにし,最終年度における新機能性探究に向けての基礎を構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,初年度に確立した装置を用いて実験を遂行する.そのために必要となる,真空部品(200千円),マイクロ波関連部品(150千円),プラズマ計測用の電気電子回路部品(200千円)と放電電極作成に必要となる金属材料(150千円)を計上する.また,得られた研究成果を国内会議で発表するための旅費として100千円を計上する.
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