2012 Fiscal Year Annual Research Report
準定常トーラスプラズマを用いた弱電離磁気リコネクション室内実験装置の開発
Project/Area Number |
23654200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井 通暁 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
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Keywords | 宇宙・天体プラズマ / 太陽物理学 / 磁気リコネクション |
Research Abstract |
太陽彩層などの弱電離プラズマ中では中性粒子との衝突が支配的となるため、磁気リコネクションの際に形成される電流シート構造に変化が現れる可能性がある。本研究では回転磁場を用いて準定常な弱電離トーラスプラズマを維持するという手法によって、弱電離環境における磁気リコネクション現象を再現する実験装置を構築した。 106kHzの回転磁場周波数においてワッシャーガン予備電離を利用することによって、400A程度のアンテナ電流によって安定的にヘリウムプラズマを形成・維持することに成功した。しかしながら、リコネクション磁場形成用の同軸コイルを挿入することによって、プラズマに注入される磁束が約半分に減少する傾向が確認された。これは、プラズマの中心に構造物が存在することによって電子密度が低下したためと考えられる。 準定常トーラスプラズマ維持中に、同軸コイルを用いて軸方向磁場を印加することによって、孤立したトーラスプラズマの磁場との間のリコネクションを発生させることに成功した。軸方向磁場の分布をピックアップコイルアレイによって計測したところ、磁場印加時にプラズマ端部付近で急峻な磁場勾配すなわちシート状電流層の形成を確認することができた。その特性長は測定用コイル間隔である3cmより短く、電流シートの狭化が発生している可能性を指摘できるが、同時に巨視的なトーラスプラズマ構造そのものがコイル磁場の時定数に比べてはるかに短い時間スケールで変化することが確認された。これは、金属製真空容器内部で閉じた磁束によって、トーラスプラズマが全体的に圧縮されたためであると考えられる。
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