2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23654201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 晴彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 客員共同研究員 (60415164)
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Keywords | 非中性プラズマ / ダイポール磁場 / 陽電子プラズマ / 反物質閉じ込め |
Research Abstract |
ダイポール磁場配位における陽電子プラズマの生成過程は,極めて非一様な磁場配位中のプラズマの自己組織化現象として,また電子陽電子プラズマの実験室研究を可能にするための基礎実験として重要である.本研究では,粒子軌道解析により,断熱不変量の非保存化を介して閉じ込め領域への効率的な陽電子の内向き輸送が可能である事を示し,小型のNa-22陽電子線源を使用して消滅ガンマ線計測を実施し,軌道解析の検証実験を行った. 軌道解析では,特に放射線源から供給される高エネルギー陽電子のカオス的運動に着目した軌道計算を行った.ダイポール磁場中において,高エネルギー陽電子の運動の第一及び第二断熱不変量が容易に非保存となり,運動が本質的にカオス的である事を示した.超伝導マグネットを備えたRT-1装置の磁場配位において,線源から供給される陽電子に対して実際の配位に即した計算を行い,カオスの効果により長い軌道長を取る粒子が増大して,閉じ込め効果が増大する事を定量的に示した.また,こうした長い周回運動を行う陽電子に対して,局所電場を印加する事により,磁気面を横切る内向き輸送が可能である事を明らかにした. 数値計算に基づいて,RT-1装置においてNa-22線源を使用した陽電子入射実験を行い,消滅ガンマ線のコインシデンス計測を実施した.カオス的効果を反映した陽電子のトロイダル方向への周回と長時間の飛行を検証すると共に,電場印加による径方向輸送の効果を確認した. 本研究を実施したRT-1において使用可能な線源強度は1MBqであり,陽電子プラズマの生成には至らなかった.しかし,陽電子の閉じ込め領域のへ入射方法について新しい知見が得られたと共に,トロイダル陽電子プラズマの測定方法についての開発研究を終える事が出来た.得られた成果を元にして,大強度の線源を使用した電子陽電子プラズマの生成実験を開始している.
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Research Products
(3 results)