2012 Fiscal Year Research-status Report
液中プラズマを用いた炭素系膜の成膜・改質反応の実時間計測による解明
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23654203
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80346931)
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Keywords | 液中プラズマ / 赤外吸収分光 / 多重内部反射 / その場 / 実時間 / 反応過程 / カーボン / アミン基 |
Research Abstract |
液中プラズマは材料合成や滅菌・殺菌をはじめ様々な分野での応用が期待されているが、気相のプラズマあるいはプラズマを使わない化学的手法に勝るまでには至っていない。液中プラズマは反応系の理解が十分ではないことが深刻な要因の一つである。もちろん、液中プラズマ生成前後での溶液のpHや溶液中分子の変化などについては調べられている。しかし、これまでの方法では反応前と反応後の様子を調べているものであるため、液中プラズマでの反応プロセスの詳細について推測するしかなかった。研究代表者はこれまで気相プラズマに関してプラズマ-固体表面相互作用の解明という観点から、反応過程について,多重内部反射赤外吸収分光法を用いた「その場」「実時間」計測に成功し、これまで未解明であった反応過程を様々明らかにしてきた。 この経験と技術を活かして、本研究では様々な条件下での液中プラズマの反応を多重内部反射赤外吸収分光法を使って、液中プラズマの反応を「その場」「実時間」計測し、液中プラズマに特有な反応化学を解明することをめざした。その上で、この反応化学の理解を利用して、これまで用いられてきた手法よりも効率的に炭素系膜の成膜および表面改質に適した反応を、液中プラズマを用いて創成することを目的として研究を進めた。 本研究では,エタノール中,エタノール・TEOS混合溶液中および純水中において液中プラズマの生成に成功し,液中プラズマ生成によるエタノールの分解過程および堆積物の生成過程について明らかにできた。液中プラズマを用いたナノカーボン生成等にインパクトを与えることができると考えられる。純水中に入れたたんぱく質を模擬した自己組織化膜への液中プラズマの曝露により,自己組織化膜中のアミン基が優先的に分解されていくことを明らかにできた。液中での滅菌・殺菌等に大きな知見を与えることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,エタノール中,エタノール・TEOS混合溶液中および純水中において液中プラズマの生成に成功し,その反応過程について明らかにできたことは評価できる。液中プラズマを用いたナノカーボン生成等にインパクトを与えることができる。純水中の自己組織化膜の液中プラズマ分解ではアミン基が優先的に分解されていくことは滅菌・殺菌等に大きなインパクトを与えることができたと考えられる。しかし,当初予定した,炭素膜の表面修飾については,エタノール溶液を他の溶液にかえるなどもう少し検討するところがある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初,パルス電源を用いたプラズマ生成を予定していたが,期待通りの効果が得られず,低周波高圧電源を用いた液中プラズマの生成を行っている。パルス電源にこだわることなく,大出力高圧低周波電源を用いて液中プラズを生成し,反応解析の研究を進める。そのために,反応解析システムを新たに構築し,研究のスピードを高める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パルス電源にこだわることなく,大出力高圧低周波電源,および計測システムについて増強しする。そのために,大出力高圧低周波電源,および計測システムの購入を行う予定である。
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