2011 Fiscal Year Research-status Report
連続供給固体希ガスターゲットによるレーザープラズマ真空紫外光源の研究
Project/Area Number |
23654204
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
天野 壮 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (50271200)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | レーザープラズマ光源 / 真空紫外 / 軟X線 / 希ガス / 極低温 |
Research Abstract |
本研究の目的は、真空紫外領域で、今までに無い波長をカバーする新型の高効率・高輝度・高平均出力の連続発生レーザープラズマ光源を開発する事である。現在、真空紫外からX線領域の光源として加速器放射光施設が使われているが、装置が大きくコストも高いため、産業応用上代替えの光源が求められているからである。 我々は以前から液体窒素冷却により、希ガスのキセノンを固化して連続供給できる回転ドラムターゲットを開発してきた。希ガスをプラズマターゲットの選んだのは、プラズマ化した際の光源周辺の光学系に付着しないというデポジションフリーターゲットであり、いわゆる「プラズマデブリ問題」が少なく産業応用上優位であると考えた。ところでプラズマ光の発光波長はこのターゲット材に依存する。キセノンを固化したのは主に発光効率を上げるためであったが、冷却に液体窒素を用いているため、固化できる希ガスの種類が限定されていた。 そこで発光波長領域拡大を狙って、ほとんどすべての気体、液体材料を冷却固化でき、これをレーザー照射点に連続供給するターゲット装置を本年度に開発した。具体的には、冷却装置としては~10Kまで冷やせるヘリウムクライオスタットを用い、ターゲットが連続供給できる装置を発明した。ここで、ターゲットを連続供給する駆動物を極低温にしてこれを維持するというのが技術的課題であったが、この克服に成功した。この試作機の試験を行ない、キセノン以外にクリプトン、アルゴンの希ガスターゲット膜の連続生成に成功し、その成長速度などの動作パラメーター取得を行なった。これらの結果を用いて、繰り返し数10Hzのレーザーパルスに対応してターゲット連続供給できる方式を考案した。以上の成果により、今までに無い波長領域をカバーする新型の高効率・高輝度・高平均出力の連続発生レーザープラズマ光源開発に目処がついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究全体を通して最大の懸案の技術課題であった「極低温化ターゲット連続供給装置」の開発に成功し、予定の目標が達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、試作したターゲット装置について、得られた動作パラメータを基に改良をおこなう。その結果として、繰り返し数10Hzパルスレーザーに対応してターゲット連続供給することを実証する。次に、レーザー照射によりプラズマ発光させ、真空紫外~軟X線領域の分光特性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既設の装置を流用する事によりターゲット装置製造に係る費用を圧縮できた。この分は翌年度に計画されているターゲット装置の改造費にあてる事とし、そのためのフィードバックに必要な動作パラメータ取得に時間をかけたため、繰り越しとした。翌年度請求分は当初計画通り、主に分光特性を調べるための測定系、光学素子、ターゲット材料等費用に充当する。
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