2011 Fiscal Year Research-status Report
水の水素結合ネットワークの微視的理解に向けた真空紫外光電場イオン化分光法の開拓
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23655002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 欣之 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70400223)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 水クラスター / 真空紫外光 / 電場イオン化 / 振動分光 / 光イオン化 |
Research Abstract |
真空紫外光電場イオン化法開発に向けて、高電圧パルス電場発生用のパルススイッチャーを自作しその動作をテストした。さらにその自作したパルススイッチャーを高電圧電源に組み込み高電圧パルスの発生に成功した。この高電圧パルスを飛行時間型質量分析計の加速電極に導入し、アセトン分子を対象として高電圧パルスによってアセトンイオンが観測されるのを確認した。また水クラスターの光イオン化に向けて、水二量体より大きなクラスターをイオン化できる短波長領域の真空紫外光発生用の水銀セルや光学系の作成および組立を行なった。次年度に、上記の高電圧パルスと水銀を媒体として発生する真空紫外光を用いて真空紫外光電場イオン化法の開発を行う。 また水クラスターの真空紫外光イオン化検出に基づくレーザー分光研究を最終目標とした第一段階として、現有の希ガスセルで発生できる真空紫外一光子でイオン化できるアセトン単体とアセトン二量体に対象として、振動分光およびイオン化ダイナミクス研究の新しい研究手法を確立した。この研究法は、水クラスターへも応用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における真空紫外光電場イオン化検出に基づくレーザー分光法の開拓において、高電圧パルスと水クラスターを一光子でイオン化できる短波長域の真空紫外光発生システムが必要である。 高電圧パルスを発生できるパルススイッチャーを自作し高電圧電源に組み込み、電場イオン化に必要な立ち上がりの鋭い高電圧パルスの発生を確認した。さらに現有の真空紫外光源でアセトン分子に高電圧パルスを適用し、飛行時間型質量分析計によってアセトンイオンの観測に成功している。 また水二量体までイオン化できる短波長領域の真空紫外光を発生できる水銀セルのシステムを構築した。このように本研究課題遂行に必要な高電圧パルス発生システムと真空紫外光源が開発され、本研究課題は順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
水銀セルを媒体として短い波長領域の真空紫外光を実際に発生し水クラスターを光イオン化する。さらに電場イオン化法を導入し、光電場イオン化法の有効性を示す。同時に、水分子を光イオン化できるさらに短波長の真空紫外光を発生できる希ガスジェットのシステムを開発し、水単体からクラスターまでの系統的なレーザー分光研究を目指す。 構築した全システムを相補的に用い、水単体、水クラスターの振動分光研究を行い、本研究課題で提案する研究手法の有効性を示すとともに、水の水素結合結合ネットーワーク理解に向けた分光研究を行うことを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水分子を光イオン化できる短波長領域の真空紫外光を発生できる希ガスジェット用の真空チャンバーを開発および改良する。 また本研究課題提案の分光法に開発に向けて必要な光学部品や電圧導入端子等の電子部品を購入し、分光システムを構築する。さらに得られた分光データの解析まで含めた、分光法開発に基づく新しい分光研究手法を確立する。
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Research Products
(7 results)