2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655005
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
關 金一 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (30250103)
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Keywords | 光化学 / 低温固相 / 化学反応機構 / 赤外分光 / 連鎖反応 / 反応制御 |
Research Abstract |
研究申請内容の基づき、低温固相における光ナノ爆発機構の研究を遂行した。本研究は低温固体中の分子において、光励起により始まるラジカル反応が気相中でのラジカル分子反応とは異なる反応速度で反応が進行することが予想されることを前提に企画されている。具体的には塩素の光化学過程におけるラジカル機構について20種類以上の化合物について常温気相および低温固相における反応過程について研究を行った。その結果、アセチレン‐塩素混合系において先行的に光爆発現象を観測し、さらにブタジエン‐塩素混合系において前者を1ケタ以上上まわる量子収率で光ナノ爆発といえる現象を確認した。基本的な固相における生成物の定量測定と低温マトリックス中における光化学過程のその場観測で、両者の実験結果を対応させることにより、反応生成物の生成機構を解明し、気相中と異なる反応系が低温固相中で見られることの意義を明確にできた。さらにマトリックス単体の実験で、ハロゲン化エチレン類の光分解過程において、新規中間体の検出に成功し、FT-IRによる解析から、その解離機構について詳細な知見が得られた。さらに大気化学的な側面からアセトンおよびN2O5の低温固相における光化学過程において新知見が見出された。 以上の成果は学術論文としてJ.Photochem.Photobio.誌をはじめ4件に掲載され、国際会議2件(XXIVth IUPAC Symposium on Photochemistry in Portugal等)、国内学会は2012年に日本化学会春季年会等4件の報告を行った。また2013年度においてにおいて(29th Symposium on Chemical Kinetics and Dynamics in Sendai)国際会議発表の申請がなされている。
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