2011 Fiscal Year Research-status Report
レドックス応答蛍光プローブを用いた生体触媒活性のナノイメージング
Project/Area Number |
23655009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
立川 貴士 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20432437)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 単一分子 / 生体触媒 |
Research Abstract |
微生物の有する生体触媒活性を利用した化学反応は、環境負荷の低い触媒として、近年、様々な応用が期待されている。本研究では、生体内における酵素触媒活性のナノイメージングに応用できる新規水溶性レドックス応答蛍光プローブの開発を行った。 既報のレドックス応答蛍光プローブ3,4-dinitrophenyl-BODIPY(DN-BODIPY)をスルホン化することで水溶化を達成した。具体的には、DN-BODIPYを1等量もしくは2等量のクロロスルホン酸と反応させることで新規化合物MS-DN-BODIPYおよびDS-DN-BODIPYを高収率で得た。 これらの蛍光プローブの性能を評価するため、二酸化チタン光触媒による多電子還元反応を観測した。その結果、酸性条件下で、DS-DN-BODIPYはMS-DN-BODIPYより高い反応応答性を示すことがわかった。これは、スルホン酸アニオンが正電荷を帯びた二酸化チタン表面に強く吸着することに起因する。また、単一分子蛍光イメージング法により、いずれの蛍光プローブも、単一粒子および単一分子レベルの触媒活性評価に適用できることを確認した。特に、DS-DN-BODIPYでは従来のDN-BODIPY と比べ、100倍以上低い濃度でも触媒活性が観測できた。さらに、同プローブを用いて、出芽酵母の触媒活性を確認した。 生細胞の蛍光イメージングを遂行するための顕微鏡システムを新たに構築し、光学素子の選定も含めた測定条件の最適化を行った。また、本研究課題とも密接に関係するナノスケールの界面反応に関する単一分子研究を行い、学術論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な課題である水溶性のレドックス応答蛍光プローブに成功した。具体的には、1つ、もしくは2つのスルホン酸基を3,4-dinitrophenyl-BODIPYのBODIPY骨格に修飾した。二酸化チタン光触媒による多電子還元反応を用いてこれらの蛍光プローブの性能を評価したところ、水溶液中でも極めて高い反応選択性と検出感度を有していることがわかった。また、同プローブを用いることで、出芽酵母における触媒活性の観測にも成功した。生細胞の蛍光イメージングを遂行するための顕微鏡システムの構築も行い、単一分子観察に向けた予備実験も進んでいる。以上のように、研究は当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
全反射蛍光顕微鏡もしくは共焦点蛍光顕微鏡を用いた生細胞中の単一分子蛍光観察を本格的に開始する。特に、重要な目的である触媒活性の超解像解析に焦点を絞り、研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(6 results)