2012 Fiscal Year Research-status Report
レドックス応答蛍光プローブを用いた生体触媒活性のナノイメージング
Project/Area Number |
23655009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
立川 貴士 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20432437)
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Keywords | 蛍光イメージング / 単一分子 / 触媒 |
Research Abstract |
本研究では、水溶性レドックス応答蛍光プローブを開発し、ナノサイズの触媒上で起こる還元反応を単一分子レベルで観測した。既報のレドックス応答蛍光プローブ3,4-dinitrophenyl-BODIPY(DN-BODIPY)にスルホン酸を修飾したDS-DN-BODIPYを合成した。蛍光プローブの性能および反応機構を明らかにするため、二酸化チタンナノ粒子による多電子還元反応を単一分子蛍光イメージング法により観測した。その結果、DS-DN-BODIPYは従来のDN-BODIPYより高い反応応答性を示し、単一分子レベルでの蛍光観測にも適用できることがわかった。さらに、金ナノ粒子を修飾した二酸化チタンナノ粒子を合成し、可視光照射下での光触媒活性を単一分子および単一粒子レベルで観測した。反応生成物の蛍光強度に対する励起波長依存性の実験から、光励起された金ナノ粒子から二酸化チタンへの電子移動およびエネルギー移動によって還元反応が進行していることが示唆された。また、同プローブを用いて出芽酵母の触媒活性を観測することで、スルホン酸の効果について検討した。生細胞の蛍光イメージングを遂行するために新たに構築した顕微鏡システムを用い、細胞中における発光性ナノ粒子の単一粒子蛍光イメージングを行った。本研究課題とも密接に関係するナノスケールの界面反応に関する単一分子研究を行い、学術論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な課題である水溶性のレドックス応答蛍光プローブに成功し、界面電子移動反応を単一分子レベルで観測できることを実証した。これらの蛍光プローブを用いることで、出芽酵母における触媒活性の観測にも成功した。また、新たに構築した顕微鏡システムを用いて、生細胞中における発光性ナノ粒子の蛍光イメージングも達成している。以上のように、研究は当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に、単一波長光源を用いた触媒活性の蛍光顕微分析を行う予定であったが、観察において想定外の興味深い光照射波長依存性が観測されたため、当初の計画を変更し、照射波長依存性の解析を行うこととした。このため、平成25年度は、蛍光プローブを用いた触媒活性観察における光照射波長依存性の解析と得られた結果の論文化を中心に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額は光照射に用いる光源の購入費と得られた結果の論文化のための経費に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)